2019 Fiscal Year Annual Research Report
West African Women's emergent organizational activities: Malien Sea Butter Cooperatives and its Contribution for Changing Women's status
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16K02038
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
園部 裕子 香川大学, 経済学部, 教授 (20452667)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アフリカ / マリ / 女性 / ジェンダー / 協同組合 |
Outline of Annual Research Achievements |
現地マリの政情が悪化しつつあり、南部地域についても外務省による渡航中止勧告が発令されているため現地調査の代わりにフランス、ベルギーで資料収集を行った。社会情勢が悪化しつつあり、調査は困難を極めた。各地のアフリカ関係博物館では特に女性の経済活動に注目した資料はほとんど見られないが、国立図書館蔵書からシアについての資料を複数収集することができた。とくに植民地時代の農業担当部局の報告書には、シアの木の性質からバターの生産・流通に至るまでの詳細な記述がみられる。そこから現地生活におけるシアの重要性とその用途を確認できるとともに、植民地期にバターの工業生産やヨーロッパでの流通の可能性が検討されていたことも把握できた。他方、予備調査のデータ分析からは、大都市近郊の中核都市に位置する協同組合を拠点に、およそ半径20㎞圏内に約30の加盟村が分布していることも分かった。この分布がどのような行政区分と関連があるのかは、さらなる検討を要する。当該地域についての先行研究からは、90年代以降、伝統的な共同農業から個人による現金獲得のための活動が急速に進んだとされている。他方で女性によるバター生産は、植民地期以前から続いてきた個人的な現金獲得活動である。同じ村の成員の間でも競争意識があるものの、近年活発化している組合活動には相互扶助の原理が組み込まれている。また、地域社会における発言権を高めるために村落議会に議員を選出することに成功した組合がマリ南部で複数みられたことから、これらの協同組合は、女性の経済活動を支えるのみならず、社会的・政治的地位の向上にも寄与していることが分かる。このようにマリではシアが女性の地位向上に結びついているが、周辺国等における研究とも比較してその特異性があるかについて見極めることが、今後の課題となる。
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