2016 Fiscal Year Research-status Report
同性カップルと子どもに関する縦断調査:クイアな家族形成過程に対する支援の可能性
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16K02041
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
藤井 ひろみ 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (50453147)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 同性パートナー / レズビアン / 性別変更 / ゲイ / parenting / 同性カップル |
Outline of Annual Research Achievements |
4月下旬に国内(東京)にてセクシュアルマイノリティの妊娠・出産・育児をテーマとしたワークショップを開催し、参加者およびゲートキーパーらと意見交換を行った。この機会は意見交換のみならず、日本国内における本テーマの非言語的でかつup to dateな雰囲気や情報を把握する機会となった。ワークショップは過去のフィールドワークをもとに内容を2タイプ検討して準備したもので、タイプ1は妊娠・出産の機序について解説し、その後に出産のビデオを見てもらう講義形式、タイプ2は国内外の生殖補助医療と費用、リスクや倫理的課題を解説した後、子育てをめぐる現状について意見を出し合う参加型形式であった。 次に、6月から「性的指向と性自認の人口学-日本における研究基盤の構築(基盤B)」に連携研究者として参加したことから、日本人口学会にて本研究計画の概要に触れる講演をおこない、セクシュアル・マイノリティが人口動向の中で疎外されることなき主体となることをどのように保障し得るか、また優生思想のような負の歴史をもつ家族計画に対して、「セクシュアル・マイノリティが家族計画する」ことが、どのように作用するのかについて言及した。また先のワークショップを踏まえ、セクシュアルマイノリティが親準備ワークショップなどに参加した場合、親との関係を見直す契機になること、親になる可能性をより現実的に感じ、親世代の一人として社会や自分の生活を見直す機会になるといった感想を持つなどの、成果がみられることをまとめ報告した。 7月からはおよそ2カ月に1回、研究会の機会を設けて先行研究者からのヒアリングを行い、先行研究の検討とともに、研究計画の詳細をつめていった。特に、Hard to reach populationへの研究参加依頼文書や調査用紙に用いる日本語のWordingに関して検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はデータ収集に着手する計画であったが、現在は倫理審査申請準備中である。本研究は、同性カップルの家族形成のうち、子どもに関する意識や実際をデータとして収集するが、すでに子どものいるカップルの場合、子ども自身の情報にも触れることとなるため、特段の倫理的配慮を講じた研究手順を踏むことが必要である。そのための文献検討や先行研究者のヒアリングなどを踏まえ、配慮をププロトコール化する過程に、多くの時間を要している。この点はある程度予測していたため、次年度にはデータ収集を開始できる見込みで進んではいるが、当初の理想的進捗に比べると「やや遅れている」。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、研究系計画のうち国内(日本語での)データ収集に関する研究計画の倫理申請をおこない、8月頃子からは対象募集、データ収集を開始する。計画は当初内容に加えて、次に点を加味することとした。即ち、(1)この1~2年の国内での同性カップルをめぐる社会的状況の変化から、同性カップルの養育親も国内で初のケースが認められた。このため、養育親として子どもを持ちたい場合も、明示的に対象として含めることとする。(2)本研究と同時期に、本研究と関連する他課題の研究が基盤(B)において採択された。この研究との協同の機会を活用し、人口学的見地からの先行研究者のヒアリングをおこなうこととする。
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Causes of Carryover |
本年度に計画していたデータ収集を翌年度に持ち越すこととなったため、データ収集に関する費用(旅費・データ入力謝金)を次年度使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の7月以降にデータ収集開始し、東京、北海道(札幌)、大阪への旅費および、データ入力謝金として使用する。 また、平成30年度に国外で実施する計画のために、次年度より和英文翻訳をした調査用紙の作成費用が必要となる。あわせて、当初計画になかった英文での倫理審査申請書類の作成費用が発生するため、次年度使用分がおおよそ平成29年度から30年度へと次年度使用額として累積使用する予定です。
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Research Products
(9 results)