2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K02045
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
石黒 久仁子 東京国際大学, 国際戦略研究所, 准教授 (90573915)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ジェンダーとマネジメント / キャリア形成 / 国際比較研究 / ジェンダー施策 / ヨーロッパ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本の女性の社会進出を更に推進するために、政策(主に雇用・ジェンダー・福祉)・企業(マネジメント及び組合)・家庭の役割分担の3つの分野/要素がいかに関連し、社会・経済における女性のキャリア形成と活躍推進の為の役割を果たしているのかを分析・考察することを目的をして研究を進めた。 平成30年度は研究最終年度で、前年平成29年度に実施したスウエーデン調査を中心とした分析を基に、9月の国際学会(WES, BSA)で、日本との比較研究の発表を実施した。(「Women's Advancement and Empowerment in the Global Economy: A Comparative Study between Sweden and Japan)。8月には継続して実施しているフランス企業の事例に本研究から得られた知見を加え、政策・マネジメント施策・家庭での役割分担に対する認識と取り組みが、いかに企業においてジェンダー差の無い人材の活用・活躍に寄与しているかを、ASAにて発表した(「Advancement of Women in French Company」)。また、雇用におけるジェンダー平等を推進するうえで、上述の政策・マネジメント・家庭の3つの領域の関連性に対する理解を深めるべく、オランダ調査で得られたデータの分析にも着手し、平成31年度以降の比較研究を中心とする発表の為の研究を進めた。 本研究から得た主な知見は、女性のキャリア形成のおいて、女性の活躍を推進する政策とそれに基づく法制度が必須であり、同時に企業・家庭の各分野に亘るキメ細かい施策の実施が、企業内・家庭内・社会におけるジェンダー平等の認識と文化を醸成し、結果的に女性が自律的に家庭と職業キャリアの双方の領域で活躍することができるという点であり、日本の女性活躍推進に示唆する点が大いにあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は本研究で得たデータを基に、1)過去2年間の調査・研究で得たデータの整理と分析及び情報収集の継続、2)論文・学会での研究成果の発表、を実施し、3年間の研究成果を広く社会に還元することを目標とした。 データ分析では、調査対象のスウェーデン・デンマーク及び周辺の欧州諸国において、各国の施策や状況は異なるものの、労働力の貴重な担い手としての女性と、性差に関わらず個々人の役割と意志を尊重した社会的合意の下に、政策・企業・社会が密接に関連し、企業における女性の活躍を可能にしている点を確認することができた。この知見を分析枠組みと議論の中心に、今年度2つの国際学会での発表を実施し("Work, Employment and Society, British Sociological Association"及び"American Sociological Association")、研究の成果を社会に還元することができた。また、日本との比較研究内容をそれら学会で発表することにより、国際的な場で日本の現状を解決する建設的な意見や、今後の研究の方向性や新たな分析視角などの多くのアドバイスを頂くこともできた。
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Strategy for Future Research Activity |
先ず、平成30年度は本研究の最終年度であるが、スウェーデン、デンマーク及び周辺の欧州諸国での調査及び文献・統計データなどで得られた知見と、これまでの学会発表で得た分析視角と新たな情報を基に、国際ジャーナルでの発表を行っていく。発表は、"Work, Employment and Society"、”Gender and Organisaton"を目指し、同時に国内の学術雑誌、大学紀要も視野に入れ、成果として更に社会に還元していきたい。 また、本研究のテーマは企業及び個人にとっても非常に重要且つ喫緊の課題である。学会のみならず、大学の授業や、要請がある場合は積極的に個別のセミナーなどにも出席して成果を還元すると同時に、継続して研究者・実務家・市民の皆さんと議論を進めていく予定である。 研究の方向性としては、平成31年度/令和元年より本研究を土台とした、スウエーデンに焦点を当てた国際比較研究を実施することが決定している。新たな研究では、事例として取り上げる企業や個人のデータを更に蓄積し、今後日本でいかに女性の社会進出を推進することができるのか、より深く具体的に検討していく所存である。
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Causes of Carryover |
本研究は、文献レビュー、現地調査の実施及びデータ分析、学会での発表の一連のプロセスを終了したが、研究で得た知見の分析を更に行いひろくアカデミック及び社会に発表し還元するべく、次年度(2019年度)に英語論文を投稿する予定である。そのため、論文校閲費用として、次年度使用額が発生した。
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