2017 Fiscal Year Research-status Report
フランスとリトアニアにおける社会規範としての女性性形成の比較研究
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16K02050
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
高馬 京子 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (60757475)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 規範としての女性像 / メディア表象 / フランス・リトアニア / 日本女性像 / 未熟・成熟 / 言説分析 / kawaii / geisha |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主眼は、日本女性像が「geisha」「mousume」「 kawaii」といった「未熟」「官能的」なエキゾチックイメージで形成される傾向の多いフランスの女性誌において、それらの未熟で官能的、エキゾチックな他者としての日本女性像はフランスの女性誌で形成される規範的女性像にとってどのような機能を有していたのかを、東欧の国であるリトアニアとの比較において考察することである。 2017年度は特に、様々な意味を付与させながらも1970年以降21世紀の現代に至るまで「かわいい」女性像が規範的な女性像として日本の女性誌のプロトタイプ的存在と言われている『anan』において形成されていったのに対し、それに対応するフランス『ELLE』(『anan』が刊行の際の提携誌)、リトアニアの女性誌『LAIMA』の同時期にはどのような規範的女性像が形成されていたかを調査するため、フランス、リトアニアの国会図書館にて該当資料の収集(計2043枚の雑誌記事の写真)しを把握した。 また、関連先行研究を追加収集、調査した。今回の下調査に基づき1970年代から『ELLE』『LAIMA』の両誌における、それら読者に投影させようとするための規範としての女性像がいかに形成されているかを考察することで、それぞれの社会の一般女性誌における規範としての女性像の形成についての考察をすることが可能となり2018年度に実際に具体的に調査していきたい。 また、分析方法論であるメディア言説分析に関する翻訳も進めた。また、今後の計画の一つ、19世紀末、「geisha」「mousume」「未熟」で「官能的」な日本女性像が形成されたフランスのメディアにおいて、いかなるその社会の規範としての女性像が形成されていたかリトアニアとの比較で考察する前準備として、仏メディアにおけるgeisha像の形成についての調査も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究学会での発表、論文執筆から、当初研究の順序は若干変更しているもの、概ね調査は進めることができ、研究成果として以下を発表することができた。1.2017年8月30日 EAJS大会、ポルトガルThe construction of idealized femininity inmedia: longitudinal content and discourse analyses of a women’s magazine, an an 2.2017年9月5日、6日、ライデン民俗博物館主催、COOL JAPAN: CREATION, PRODUCTION, AND FABRICATION OF THE COOL、オランダ2017年12月2日、筑波大学国際ワークショップ、Japanese Pop-Texts in Global Context,“Archaeology of Kawaiis”.3.2017年11月2日、2018年ジェンダーフォーラム、インドConstruction 、Construction of Kawaii as an Idealized Femininity Dis/connected With Fashion Placed in Modern, Western, and Urban Contexts: A Case of Japanese Women’s Magazine an an また、2018年度出版に向け以下3冊を準備した。1.「越境するGEISHA」『越境する文化、コンテンツ、想像力』(松本健太郎・高馬京子編)ナカニシヤ出版(近刊)2.『kawaii論(仮)』高馬京子 明石書店(近刊)3.ドミニック・マングノー『コミュニケーションテクストを分析する』石丸久美子・高馬京子共訳、ひつじ書房(近刊)まだ着手していない課題、資料収集を今後進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の2年間で、上記したように、関連資料の補足収集を行いながら、①1970年代以降のフランスの『ELLE』、リトアニアの『LAIMA』(1970年~2015年、『LAIMA』に関してはリトアニア独立以前刊行の女性誌もあわせて調査する予定である)においてどのような女性像が規範的な理想的女性像がどのような言説によって形成されているか分析を行う。このことで、①1970年以降日本とフランス、そして東欧における一般女性誌における規範としての女性性の形成の特徴、②19世紀後半のフランス、リトアニアの女性誌でどのような女性像が規範として描かれていたかの考察を行う。これらの基礎研究を足掛かりに、将来的な展望として、それぞれの雑誌において、いかなるリトアニア、日本の雑誌におけるフランス人女性像、フランス、リトアニアの雑誌における日本人女性像が形成され、また「他者」女性像がどのような役割をしているかの考察も行うことを主眼におきつつ、本研究においては、まず日本、フランス、リトアニアの女性誌においていかなる規範として女性像の表象が通史的に形成されてきたか、また、未熟性、官能性を有する日本女性像はどのような役割を、自国の規範としての女性像を形成する中で、フランスの女性誌で果たしてきたか、東欧の一国であるリトアニアとの比較で通史的に考察し、検討していく予定である。また、それぞれの調査に関しては、国内外の学会発表、論文投稿を行うことで発表していくために、その発表準備、論文執筆も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
海外調査や発表に時間がとられ、国内の調査に時間がさけなかったこと、また、消耗品に関しても、海外調査やすでにある文献調査、発表準備等に追われ、新しく購入できなかった。資料調査は国外が中心になるため、国外での資料調査を中心に2018年度は使用していく予定である。
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Research Products
(7 results)