2018 Fiscal Year Research-status Report
日仏雑誌にみる子育て観とジェンダー観―妊娠・出産・育児をめぐる言説分析を通して
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16K02055
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
石丸 久美子 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90586801)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日仏育児雑誌 / 妊娠・出産・育児 / 言説 / 子育て観 / ジェンダー観 / 比較文化 / 日本 / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続き、日本とフランスの育児雑誌における子育て観とジェンダー観を調べるべく、妊娠・出産・育児をめぐる言説分析を行った。具体的には、1. 記事・広告内容の分類とカウント、2. フランスの育児雑誌に特徴的な言説の収集と分析である。 1. については、すでに入力済みのフランスの育児雑誌ParentsとFamili.magicmamanの雑誌見出しに、さらに広告ページも含めたデータベースを作成し、天童睦子編(2016)『育児言説の社会学――家族・ジェンダー・再生産』の記事内容別分析のテーマ分類を当てはめたうえで、ページ比率を調査した。本作業には膨大な時間がかかっており、引き続き、継続予定である。なお、広告については別途、独自の分類により、広告内容別比率を分析している。 2. については、記事・広告内容の中からフランスの育児雑誌に特徴的なステレオタイプ的言説を抜き出し、それらについて言語学的、比較文化学的な観点から分析を加えているが、こちらも引き続き作業を続ける予定にしている。 研究発表としては、本研究の研究手法となるフランス学派言説分析の第一人者であるソルボンヌ大学教授ドミニク・マングノー氏による『コミュニケーションテクスト分析』の翻訳書を出版することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず、対象コーパスであるフランスの育児雑誌の翻訳作業、広告ページを含む全ページのカウント、その内容テーマ分類について、予定以上の時間が必要となった。また、分類にあたり、当初予定していた以外の枠組みを採用する必要が生じたため、分析方法の設定に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
既に上記で述べた、雑誌見出しと広告について、内容別分析を引き続き行いたい。 また、記事や広告において、出産・妊娠・育児についての社会的価値観や通念を内包するようなフランスの育児雑誌に特徴的な言説を抜き出し、日本の育児雑誌と比較し、言語学的、比較文化学的視座から分析を行う。言語学的観点としては、フランス学派言説分析の手法、概念を用いていく。 調査途中で、フランスにおける育児雑誌の出版状況と、フランスにおいて「ポジティブ教育」や「好意的教育」と呼ばれているポジティブ・ディシプリンによる育児(書)の普及状況を調べる必要性が表れてきたため、現地調査を希望している。
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Causes of Carryover |
予定よりも研究出張回数は少なくなったため、未使用(次年度使用)額が生じた。 本年度も引き続き、資料購入、PC関連用品、コピー用紙、文具、文献複写費が必要である。また、資料収集のための出張、情報収集のための学会・研究会参加費を予定している。特に、上記に述べたように、フランスにおける育児雑誌の出版状況と、ポジティブ・ディシプリンによる育児(書)の普及状況を調べるための渡航費も予定している。
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Research Products
(1 results)