2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K02056
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中村 艶子 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (30329958)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ジェンダー / 女性労働 / キャリア形成 / ワーク・ライフ・バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「グローバル時代の女性労働:女性活躍と企業支援」の初年度2016年度(平成28年度)の実績として、以下のような研究実績を収めることができた。 研究計画で挙げていた日米のうち、アメリカの状況にまず焦点を当てて、共著の中村艶子第10章「アメリカ企業の女性管理職・役員の登用」、渡辺峻・守屋貴司編『活躍する女性会社役員の国際比較』(ミネルヴァ書房、2016)にまとめることができた。本章においては、アメリカの女性活躍の状況を女性管理職・役員の登用における現状をまとめた。 また、国際学会であるOxford Women's Leadership Symposium March,2017において日本で現在大きな問題となっている保育所問題と働き方の現状についての研究報告を行った。 さらに本研究内容をもとにワーク・ライフ・バランス、女性活躍、および企業内保育所について、以下のような公的発信を行うことができた。「ワーク・ライフ・バランスの推進に向けて~担当者が理解しておくべき男女共同参画の意義~」、「ワーク・ライフ・バランスの推進に向けて~地域での支援政策を考える~」「日本と米国における女性労働の違い」、【基調講演】「女性活躍推進~働きたい女性を支援する保育事業~」(大阪府 女性活躍推進×事業所内保育事業および世界銀行グループ×関西経済連合会主催「多様な働き方と女性の社会進出:世界銀行グループの取り組みから見えること」(英語による世界銀行副総裁とのパネルディスカッション)などである。いずれの発信も研究上、社会還元上意義のあるものだと考えるが、特に、上記【基調講演】「女性活躍推進~働きたい女性を支援する保育事業~」は国が推進する事業所内保育所のプロジェクトの一環であり、タイムリーである。このテーマで基調講演の機会を得たことは、本研究の目的と合致した意義のある実績のひとつとなったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度2016年度(平成28年度)の研究活動は極めて限られた研究時間の中ではあったが、意欲的に実施することができた。今年度は日本の従業員・スペシャリストへのインタビュー、WLB制度担当者のセミナー出席により、本研究の課題である女性活躍や保育所問題を中心に現状把握と情報収集に努めた。予定していたインタビューと確認作業を日本の女性管理職を中心に地道に進めている。また、米国企業での働き方やワーク・ライフ・バランスについても検討している。 関西経済連合会の女性エンパワメントプログラムについても、女性活躍のために"out of the comfort zone"という重要な共通概念により活躍推進があることを見出すことができた。 当初、学会報告は予定していなかったが、本研究報告で得られた知見をまとめて国際学会で報告することが研究成果につながる重要なステップであると考え、オックスフォード大学でのOxford Women's Leadership Symposiumにおいて積極的に研究蓄積を報告するに至った。幸運にも主催者側の選考に通り、大変貴重な機会を頂くことができた。 保育所問題をジェンダー視点から分析し、研究成果としてまとめる作業も進行中である。極めて限られた研究時間の中ではあるが、研究成果をひとつずつ出すことに鋭意努め、2016年度については共著、学会報告、研究関連の講演等での公的発信を行うことができた。 上記の研究状況に鑑みると、現在までの進捗状況についてはおおむね順調に進展しているといえるのではないかと考えている。次年度は、今年度に十分でなかった点を踏まえてさらに発展できるよう、これまでの成果をステップにして、さらに研究を深めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度(平成29年度)も、引き続きWLB支援およびキャリア形成についての調査をさらに進めていく予定である。また2017年度(平成29年度)には、2016年度(平成28年度)に得られた知見をもとにさらに研究成果を出せるよう予定している。 ただし、研究成果の出し方については研究遂行上、若干の変更がある。研究計画では単著を2017年度に予定していたが、現段階では、それにさきがけて共編著としてワーク・ライフ・バランスについて上梓できるよう執筆中である。従って、それが終了したのち、単著を意図した研究内容を進めることになる。そのため、2017年度(平成29年度)の単著を2018年度(平成30年度)に行う可能性がある。これは当初盛り込まれていなかった共編著による研究成果をプラスしているためであり、研究内容の幅が広がっていると考える。 今後の研究の推進上の課題としては、極めて限られた研究時間の中で、いかに研究時間を確保していくかが挙げられる。対応策としては、学会参加や研究会によって、進捗状況を確認し、意見交換を行うことができると考える。また、設定された締切を意識して研究成果を出していくことで、ひとつずつ研究目的を達成できるとも考えている。さらに、成果をまとめて校閲してもらう協力を得ることや、調査協力で大学院生に研究補助を求めることも対応策として有効だと考えている。それらによって研究が大きく遅延することなく、成果を上げられるよう努めるとつもりである。また、課題としては渡航上、欧米でのテロや外交政策により、渡航や現地調査が以前よりも難しくなる側面も否めない。今回の渡航においても、出発日にロンドンでテロが発生するなどで空港も厳重体制が敷かれていた。その中での帰国となり、周囲からの心配もあった。このような側面は研究遂行上、個人ではコントロールできない側面であり、大きな壁となりうる課題である。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 女性エンパワメント2016
Author(s)
中村艶子
Organizer
女性のエンパワメントのための米国派遣プログラム
Place of Presentation
関西経済連合会(大阪府大阪市)
Year and Date
2016-10-17 – 2016-10-17
Invited
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