2016 Fiscal Year Research-status Report
函館広域圏における戦略的デスティネーション・マネジメントに関する研究
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16K02067
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
池ノ上 真一 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60582252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
敷田 麻実 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40308581)
松井 大輔 新潟大学, 自然科学系, 助教 (80709816)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺産マネジメント / 函館 / 江差 / 地域形成ストーリー / 港湾地域 / 地域課題解決 / 町並み保存 / 自然再生の活動プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、函館広域圏の特性に適応した遺産マネジメントモデルの構築を目的とし、H28年度では以下について取り組んだ。 a. 函館広域圏における遺産再評価調査および比較研究地域における港町地域の現地踏査① 函館広域圏を対象に、地域の形成・発展において外部との交流の重要性が確認されている港町地域である函館市、江差町において、遺産再評価を目的とした現地踏査を行った。さらに関係が深い新潟において現地調査をおこない、学際的視点から、当該地域の抱える遺産を再評価した。池ノ上は、函館および江差における文化遺産について、地域形成のストーリーの整理を行い、さらに観光の現状把握を行った。松井は、とくに明治から高度成長期にかけての函館市における都市計画及び港湾計画に関わる歴史資料を収集し、遺産として再評価するための基礎的情報として、港湾地域の都市形成と各種計画の関係性についての分析を行った。
b. 比較研究地域の特性と現状の整理① 研究代表者である池ノ上真一(竹富島)や、研究分担者である松井大輔(新潟)、さらに連携研究者である石村智(奄美大島、北海道標津町)・田代亜紀子(インドネシア・パダン)が行ってきたこれまでの研究成果を踏まえ、比較研究地域を中心に港町地域形成史と現状把握を行った。とくに池ノ上は、地域課題解決における観光の役割について、沖縄県・竹富島や岐阜県・白川郷における町並み保存の取り組みと、近年の地方創生等をとおした経済再生の取り組みとの共通項について整理を行い、観光が地域に貢献するための条件抽出を行った。また敷田は、自然再生の活動プロセスの整理をとおした社会・文化的評価の手法について検討を行った。さらに石村は、奄美大島と北海道標津町を対象に、世界遺産と地域遺産に関する調査を実施し、特に世界遺産に対する地域住民の意識について社会人類学的な調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
a. 函館広域圏における遺産再評価調査および比較研究地域における港町地域の現地踏査① 函館市・北斗市では、研究協力者である函館市役所都市建設部・観光部・経済部、函館商工会議所、北海道開発局、北海道運輸局、北洋銀行、道南歴史文化振興財団、函館湾岸価値創造プロジェクトチームと協働により、近現代の函館都市形成史、函館湾岸コンクリート物語、北の縄文文化に関する地域形成ストーリーの整理を行った。また江差町では、江差町役場まちづくり推進課・追分観光課・教育委員会社会教育課、さらには江差いにしえ資源研究会とともに、観光の現状把握を実施し、地域形成ストーリーをもとにした観光戦略書策定のための分析を行った。さらに観光に関連した人材像について、地域課題をもとに分析を行い、人材養成に関する課題の整理を行った。さらに、函館市都市建設部と共同で、景観と暮らしに関する市民アンケートを実施し、観光から暮らしまでを対象とした目的地(デスティネーション)としての意識に関するデータ収集、分析を実施した。
b. 比較研究地域の特性と現状の整理① 計画では、函館広域圏における研究協力者との連携体制構築、および調査の実施に時間を要したため、予定していた気仙沼や尾道での現地踏査を実施することが出来なかった。しかし、沖縄県・竹富島や岐阜県・白川郷における既存の研究成果の整理をとおした特性と現状整理を行い、本研究の目的である遺産マネジメントモデルの構築に資する考え方についてまとめた。さらに北海道紋別市・網走町・帯広市におけるデスティネーションマネジメントの取り組みについて現地踏査をとおした現状整理を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
a. 函館広域圏における遺産再評価調査および比較研究地域における港町地域の現地踏査② 初年度に引き続き、当該地域において研究分担者や連携研究者、および研究協力者の協力を得て、補足調査を実施するとともに、比較研究地域(気仙沼、尾道、インドネシア・パダン)において現地踏査を実施する。また、北海道遺産協議会における遺産マネジメントをとおした地域再生支援の取り組みについても、関係者の協力を得て調査・分析を行う。 b.GISを用いた情報の管理・共有作業① これまでに把握した多岐にわたる地域情報について、GISを用いて整理・統合する。そのことにより、情報の分析・管理を行うとともに、当該研究チーム内での情報の共有化を図る。とくに戦略的デスティネーション・マネジメントを導き出すための情報の入力・管理・統合の方法の開発について、検討を行う。 c.戦略的デスティネーション・マネジメントの検討① 函館広域圏における再生と発展を目指す戦略的デスティネーション・マネジメントに関して検討を行うため、とくに函館においては、景観まちづくりの視点から函館市役所、市民団体や経済団体等、江差においては、観光まちづくりの視点から江差町役場や市民団体や経済団体といったステークホルダーとの具体的な政策の討議を行う。
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Causes of Carryover |
函館広域圏での研究協力者らとの研究体制の構築について、予定よりも時間を要した。そのため、予定していた尾道や気仙沼調査を実施することが出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
比較研究対象地である尾道、気仙沼への旅費として使用する予定である。
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Research Products
(28 results)