2018 Fiscal Year Research-status Report
空間統計学による観光市場の地域特性の把握と地理情報の高度化に関する研究
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16K02071
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
大井 達雄 和歌山大学, 観光学部, 教授 (10367881)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 空間統計学 / 地理情報 / 観光市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究成果として,雑誌論文4本(『ESTRELA』2019年2月号など),国内学会報告3本という状況である。刊行されていないものの,中央大学経済研究所研究叢書に掲載予定の原稿(「観光地域経済調査からみた観光関連事業所の季節変動分析」)を執筆し,現在,編集作業中である。論文の内容として,観光庁の「観光地域経済調査」の個票データを使用し,個々の観光関連事業所の季節変動の実態を把握した。具体的には,月次の売上金額や利用者数のデータからジニ係数を計算し,報告書に記載されている全国集計値を通じて計算した数値は,合算することによってデータそのものが平準化する傾向にあり,個々の事業所の結果と比較して過小となることを明らかにした。さらに観光産業には多様な業種が存在することから,業種の影響も大きく,文化サービスや宿泊サービスなどでは季節変動が大きいこともわかった。一方で飲食サービスや小売については,観光客ではなく,地域住民が顧客の中心である事業所も多く,そのような事業所では季節変動が小さい傾向にあった。 雑誌論文については,平成30年4月に和歌山市に設立された統計データ利活用センターや和歌山県データ利活用推進センターにおける期待として,公的統計の利活用の可能性について論じたものや,アジア太平洋研究所における共同研究の成果についてまとめたものがあげられる。 学会報告では,経済統計学会主催の第62回全国研究大会,横断型基幹科学技術研究団体連合主催の「第9回横幹連合コンファレンス」や一橋大学経済研究所社会科学統計情報研究センター主催の「平成30年度研究集会 ミクロデータから見た我が国の社会・経済の実像」などで報告し,学際的な研究者と討論することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は多くの学会や研究会で報告の機会を得ることができた。研究業績には記していないが,平成30年4月に開所した統計データ利活用センターや和歌山県データ利活用推進センターとの連携も進んでいる。そのため論文を執筆する時間が十分に確保することができなかった。令和元年度については,最終年度でもあることから,学会報告のペースを維持しながらも,論文を完成させていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
和歌山大学では,平成29年度に株式会社ナビタイム・ジャパンから,大阪府における外国人観光客の周遊行動に関するGPSデータを購入した。さらに平成30年度にNTTドコモより『モバイル空間統計』のメッシュデータを購入した。引き続き,データの解析を行い,研究成果をあげたいと考えている。また平成30年4月に統計データ利活用センターと和歌山県データ利活用推進センターが開所した。両センターは先進的なデータ利活用の推進拠点をめざしている。今後,両センターとの関係を発展させながら,地理情報の実証分析研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度中に開催する予定であった2つの国際学会(VIII International Conference[スペイン・アルメリア]とPOMS 30th Annual Conference[アメリカ・ワシントンDC])が平成31年4月以降に開催されることになったためである。令和元年度においては,これらの国際学会に加えて,国内外での学会報告を予定している。また,分析に必要なデータや統計処理ソフトを購入する予定である。
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