2017 Fiscal Year Research-status Report
小規模島嶼におけるジオツーリズムと地域イノベーションに関する実証的研究
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16K02072
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
深見 聡 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (20510655)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小規模島嶼 / ジオツーリズム / 世界遺産 / 明治日本の産業革命遺産 / 軍艦島 / 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 / 地域イノベーション / 国境島嶼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、持続可能な地域づくりを指向する小規模島嶼とその関連地域を対象として、実質的にジオツーリズムが展開されている地域のイノベーションと観光学の果たすべき役割について、引き続き実証的に明らかにすることを目的に研究をすすめた。具体的には、次の2点について重点的に取り組んだ。研究手法としては、現地に赴くに先立っては文献調査(先行研究や新聞記事等の資料収集と分析)、島民や関係する地域住民等の当事者と当該地域の自治体を対象とした聞き取り調査である。 1.小規模島嶼とその関連地域を対象としたジオツーリズムの現状把握 2015年に「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の1つとして世界遺産に登録された端島(通称:軍艦島、長崎市)、且つ、2016年4月に成立・公布の有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法(通称:国境離島新法)における対象島嶼から構成される甑島(鹿児島県薩摩川内市)を対象として、地域資源を活かしたジオツーリズムに対する当事者の意識を、とりわけポリティクス的視点から把握を試みた。 2.小規模島嶼及びその関連地域を含む条件不利地域を対象としたジオツーリズムの動態的展開過程の把握 ジオツーリズムは、エコツーリズムや世界遺産における観光現象も包含する意味合いを有している。この観点から、端島(通称:軍艦島、長崎市)のほか、2018年の世界遺産登録を目指す「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の位置する五島列島やその関連地域(本土側に位置する長崎市外海地区)を事例として、ジオツーリズムと世界遺産登録により生じる観光現象との関わりについて、地域イノベーションの視点から検討を加えた。 それらの成果は、日本観光研究学会大会、日本島嶼学会大会、進化経済学会大会企画セッション等で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去におこなった類似調査により得られた聞き取り調査結果に加え、今年度新たにポリティクス視点からの調査を実施することで、経年的かつよりリアルな発話、関連する資料等のデータを得ることができた。それらの成果は、論文として公表したのをはじめ、各種学会大会等において口頭ならびにポスター発表をおこなった。また、アウトリーチとして、NHKラジオ第一への出演や、山陰中央新報、八重山日報等の取材を受け、研究成果の還元の機会を得た。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の申請時点では、国境離島新法が成立前であったり、世界遺産の登録をめぐるポリティクス的側面の表出は散発的であったが、今後はジオツーリズムと地域イノベーションの関係性について、引き続き持続可能な地域づくりを指向する小規模島嶼に着目し、実証的研究の深化に努めていきたい。
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