2018 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative study on variability of living heritage between two sites: Cebu, the Philippines and Champasak, Lao PDR
Project/Area Number |
16K02086
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西村 正雄 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30298103)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 文化遺産 / ラオスのチャンパサック / フィリピンのセブ市 / ムスリム / キリスト教徒 / 仏教徒 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018度は最終年にあたるため、過去のフィールド調査と、分析結果についての見直しを行った。 <ラオス>今回の調査の目的である、リビングヘリテージの多様性という点で、特に仏教国であるラオス、チャンパサックの中のマイノリティ住民について補足調査を行った。具体的には、チャンパサック世界遺産内に存在するキリスト教徒の村、パノンタイ村、タテン村において、彼らの遺産に対する意識と、他の村落(すべて仏教徒)の住民の遺産に対する意識を比較検討した。結果的に、遺産に関する考え方に、他の村落民と大差は見られなかった。ラオスにおいては、公共の遺産と家族の遺産の区別が比較的はっきりしているため、宗教の相違にもかかわらず、この点で比較的同じ遺産に関する考えを共有しているものと思われた。 <フィリピン>今回、前年度までの調査の第一次分析と、補足のフィールド調査を行った。セブ市の住民の多数がキリスト教徒の中で、少数派と言われるムスリムの人々が、遺産に関してキリスト教住民と同じような感覚と行動を示しているのかどうかを調べた。遺産として有名な、サントニニオ教会、マゼランクロスに行く頻度、それらに他する意見についての調査をマンダウエ市で行った。結果は、以前の調査結果を支持するものであった。すなわち、そうした遺産に対して積極的な関心はなく、またそれに対する否定的な感覚もなかった。むしろそれらの遺産の存在を認識し肯定ているが、なによりも、自分たちの家族に伝わる遺産にまず関心があり、それらを通して、公の遺産について語る様子が見られた。キリスト教徒の住民とほぼ同じ様子であった。ただ、キリスト教徒の住民よりも、モスリムの人々の間の内部の共通性、結束は固いよう思われた。すなわち、遺産を巡る「競争(コンペティション)の度合いはやや低いように思われた。しかしまだ、この点については今後確認調査を続ける必要があるものと思われる。
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Research Products
(10 results)