2016 Fiscal Year Research-status Report
観光地における防災訓練を中核とした地域防災計画策定手法の開発
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16K02089
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
小池 則満 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50293741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 亜由未 愛知県立大学, 日本文化学部, 講師 (70708370)
岩見 麻子 愛知工業大学, 工学部, 研究員 (80750017) [Withdrawn]
森田 匡俊 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 講師 (90566720)
石黒 聡士 愛知工業大学, 工学部, 研究員 (90547499)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 防災計画 / 観光防災 / 避難訓練 / 津波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では観光地における避難訓練で得られる知見を、観光防災にどのように反映させていくか、実践的に取り組みものである。本年度は、海水浴場における避難訓練および釣り客を対象とした津波避難訓練にて現地調査を行った。 1)海水浴場における避難訓練:対象を愛知県南知多町の内海海水浴場とした。小学生を持つ親子および小学校教職員の協力を得て、避難訓練に参加いただくとともに、アンケート調査を行って避難誘導や避難経路についての意見を聴取した。その結果、大人と子どもでは同じルートを歩いたにも関わらず経路の安全性について意見の相違がみられた。 2)海上釣り堀における釣り客に対する津波避難訓練:研究対象地域は三重県南伊勢町である。海上釣り堀にいる調査員を漁船が迎えにきて港まで送り、高台まで避難する様子をGPSで追跡した。その結果、津波到達時間を南海トラフ地震の最も早い場合に想定した場合、港には到着できるが、高台避難には間に合わない可能性があることや、避難経路が観光客には非常にわかりづらい様子をみることができた。 以上の通り、観光地で行われる避難訓練に対する観光客の意見や行動を調査することができた。いわゆる「土地勘」のない観光客には、地域住民とは異なる避難誘導のあり方が求められ、可能な限りシンプルでわかりやすい避難経路および避難場所をあらかじめ設定しておくことが必要と考察された。また、観光地に対してマイナスイメージを植え付ける避難訓練では地域に受け入れられなくなる可能性がある。したがって、観光地としての安全・安心を図る目的であることを明確にできるような知見のとりまとめや防災教育・啓蒙への反省方法についても考える必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において2か所での避難訓練を研究対象として掲げていた。南知多町における避難訓練については、当初の計画通り天候にも恵まれ実施されたことから、調査も予定通り行うことができた。一方、南伊勢町での避難訓練については、当初の予定では全町避難訓練にあわせて全町に調査員を配置して個人の釣り客を想定した調査を行う予定であったが、警報発令のため訓練が中止となった。そこで天候の回復を待って場所を限定するとともに、団体客を想定した避難訓練と調査に切り替えた。その結果、同じ海上釣り堀からであっても、上陸のタイミングや道に迷うなどして、異なる一次避難場所へ避難する様子をGPSで観測することができた。 以上の通り、天候等によるいくつかの変更は生じたが、全体計画に影響を及ぼすものでないことから、おおむね順調に進展している、と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、海水浴場避難訓練および船舶避難訓練へ参画するとともに、訓練後のワークショップを開催して地域とともに検証・報告を繰り返し、いわゆるPDCAサイクル(Plan,Do,Check,Action)の実践を行って、リスク評価と対策案について検討する。観光業者との意見交換やアンケート調査を進めて、避難訓練から得られる知見を具体的な地域防災計画に組み入れていく方法論について検討する。あわせて、だれが、いつ、どこからどこへ、どのような方法で誘導・避難させるのか、といった意志決定の支援と観光業者が負うべき負担、法的・社会的な問題点についても地域とともに議論を行う。 課題としては、前年に引き続いて天候による避難訓練の中止や内容の変更が考えられる。これについては、規模の縮小やワークショップを併用するなどして、データの収集等を進めることとする。
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Causes of Carryover |
天候不順により、調査対象である避難訓練の内容が変更となったのが主な理由であるが、代替の調査は実行できたので、おおむね適正に執行できたものと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年と同様の現地調査および得られたデータの分析を行う予定であるが、昨年度の反省を踏まえ、天候不順の際の代替調査を事前に考慮する予定である。したがって繰り越し分も含めて、適正に予算を執行できるものと考えている。
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Research Products
(2 results)