2018 Fiscal Year Research-status Report
文化と産業が融合する産業観光モデル構築に関する研究
Project/Area Number |
16K02091
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
古池 嘉和 名古屋学院大学, 現代社会学部, 教授 (50340063)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 物語観光 / 広域連携 / 輸出陶磁器 / 消費と創造 / 地域デザイン / 産業観光 / 文化資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
名古屋都市圏の外縁部には、瀬戸や美濃など日本を代表する伝統ある窯業地を抱えている。近代化の過程では、これらの窯業地から陶磁器の基礎となる「素地」を運び、名古屋で上絵付を施し、完成品として輸出した歴史がある。こうして名古屋には「上絵付技法」が職人の技術として蓄積していった。しかし「プラザ合意」後の円高局面になると、明治以降隆盛を続けた輸出陶磁器の産業としての命脈は、ほぼ途絶えることとなる。反面、今日では、文化面での評価が高まり、技法の伝承や作品展示などが行われるようになってきた。こうして地域の文化資源化が進みつつあるものの、観光資源としては不足するため、本研究では、時空間を広げ「物語」としてつながる可能性を検証した。空間的には、背後の瀬戸や美濃へ広げ、同時に時間を遡って広域的地域の関係性を検証し、物語の構築を含めた産業観光モデルの構築を試みた。 本年度は、名古屋と瀬戸や美濃との関係において、「物語」に基づく観光がどのような役割を果たすかについて考察するとともに、その際における課題や限界について学会等で発表した。さらにその参考として、「生産の場から観光消費の場へ、そして創造の場」に向けて再生をした常滑や、地域外からの人的資源を元に「デザイン」を切り口とした交流の場づくりを実現した波佐見の事例などを調査しつつ論考を深めた。 同時に、瀬戸や美濃、名古屋の美術館学芸員や地域づくり/旅行業の専門家とともに研究会を開催し、各産地の視点から近代輸出陶磁器の歴史を踏まえた広域的な観光の可能性を検証した。そして、研究会での議論を踏まえ、12月15日に、瀬戸・美濃・名古屋の各産地からパネラーを招いて「フォーラム」を開催し、研究内容の周知を図った。その上で、研究会メンバーがそれぞれの視点から論考をまとめていくこととし、それらを包括的に考察して最終的な取り纏めを行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究会を構成する各研究者から、研究会での議論やフォーラムの内容を踏まえた論文の投稿を依頼し、年度内に本研究の纏めとする予定であったが、論文執筆に際して、独自の追加調査(職人への聞き取り調査など)を行いたい旨の申し出があり、さらに深めた論考になることを期待し、論文の提出期日を延長することとした。そのため、年度内に論文集(報告書)を完成させることが困難になり2019年度まで延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究会メンバーから提出された各論文の内容を踏まえて、総括的な論考を纏める。その上で、これまでの研究会の討議内容などを記載した報告書の作成を行うことで、研究の纏めとしたい。その上で、一般に向けた研究成果の普及・啓発のため、今回の研究に対して協力を仰いだ「名古屋陶磁器会館」が発刊(予定)の記念誌へ論考を投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
報告書の取り纏めを2019年度に延期したため、研究論文投稿に対する原稿料の支払いと、報告書の編集・印刷費を次年度に繰り越した(支出予定は原稿料180,000円(30,000円×6人)、報告書印刷費(120,000円))。
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Research Products
(4 results)