2016 Fiscal Year Research-status Report
空間のアーキテクチャと規制に関する疫学・地理学・社会学による融合型研究
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16K02094
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
太田 健二 四天王寺大学, 人文社会学部, 准教授 (60506997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片野田 耕太 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 室長 (00356263)
村田 陽平 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (10461021)
伊藤 ゆり 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 主任研究員 (60585305)
永井 純一 神戸山手大学, 現代社会学部, 講師 (90552828)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 音楽 / 遊興 / 受動喫煙 / 空間 / 規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年の東京オリンピック開催に向け、風営法改正後のダンスクラブや野外フェスなどの「遊興」空間の規制や、飲食店などの公共施設における受動喫煙規制のあり様を対比的に取り上げる本研究では、歴史的経緯を整理しながら、フィールドワーク調査によってその現状を検討した。 「遊興」空間の規制に関しては、文献調査、実地調査および関係者への聞きとり調査をおこなった。たとえば、野外フェスにおける技術的な空間のアーキテクチャは、物理的なゾーニング(ファストレーンやVIPエリア等)とPAによる音響的なゾーニングの2点によって特徴づけられる。とりわけ音響的なゾーニングは、騒音規制とかかわりが深く、技術的に解決策が講じられるだけでなく、事前に近隣住民に対して音楽イベント開催の旨を周知するチラシが配布されることもある。また、ドイツのベルリンを事例に、ダンスクラブのような都市の「遊興」空間が、まちづくりや観光資源として注目されている一方、風営法改正後、特定遊興飲食店の営業可能地域の規制のあり様が今後の課題になるかもしれないことが明らかとなった。 日本の受動喫煙の現状については、健康リスク、曝露割合、起因死亡、低濃度の曝露による影響、屋内と屋外の比較、分煙の問題点、日本での法制化の見通し、電子たばこなど新しいたばこ製品との関連などの観点から一般向けにわかりやすい情報提供の方法を検討した。とりわけ、受動喫煙防止法案のたたき台が示されて以降、目まぐるしい動きがあった。また、完全禁煙の飲食店に関する調査は、飲食店経営者への聞き取り調査をもとに、定性的な情報収集を行うとともに、Webを通じた情報発信を行っている。この活動はテレビや新聞などメディアでも取り上げられた。これらの調査に基づき得られた知見を、受動喫煙防止に関する意見書としてまとめ、議員連盟や厚生労働省担当者へ提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「遊興」空間に対する風営法改正後の規制と公共施設における受動喫煙規制、双方のトピックにおいて歴史的的経緯と現状の把握は順調に進んでいる。「遊興」空間のアーキテクチャと不適切なアウトカムとの関連性を検討するための調査項目や指標の洗い出しについては、既存の研究の蓄積が少なく、受動喫煙の分析に比べやや遅れているが、おおむね順調に進められていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
「遊興」空間の規制に関する研究については、今後もフィールドワーク調査を継続しつつ、社会学・地理学・疫学の融合的アプローチを進めるために、「遊興」空間のアーキテクチャと不適切なアウトカムとの関連性を検討するための調査項目や指標の洗い出しを同時並行して行う。とりわけ、特定遊興飲食店の営業可能地域に注目し、地理情報システム(GIS)の手法を用い、空間疫学的分析を検討する。 受動喫煙規制に関する研究については、受動喫煙防止法案に関する各種団体の動きをフォローし、経過をまとめていくとともに、引き続き、完全禁煙の飲食店に対するフィールドワーク調査を行いながら、分析を進める。
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Causes of Carryover |
調査項目と指標の洗い出しが遅れたため、当該年度に見積もっていた地理情報システム(GIS)ソフトウェアやデータの購入を次年度に繰り越し、また、メール等インターネットを通して打ち合わせを行うことで、想定していた回数よりも会議が少なく済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
空間疫学的な分析を行うために地理情報システム(GIS)ソフトウェアやデータを購入するとともに、フィールドワーク調査およびインタービュー調査を進める。
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