2016 Fiscal Year Research-status Report
観光産業におけるサービスビジネスとしての「おもてなし」の経営分析
Project/Area Number |
16K02096
|
Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
森下 俊一郎 九州産業大学, 商学部, 講師 (10735228)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | おもてなし / 先行研究レビュー / 事例研究 / 黒川温泉 / 加賀屋 / 経営分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本(初)年度は、提出した研究計画に従い、先行研究レビューと事例研究を中心に研究を進め、当初の計画以上の成果が得られた。 先行研究レビューは、おもてなしと経営(マネジメント)の関係に関する先行研究を中心に、メジャーな論文検索サイトである「CiNii」と「Google Scholar」を主に用いて、国内外の論文や文献を検索・探索し、本研究課題に密接に関係すると考えられる先行研究を取捨選択し、入手・収集した。その後に、本研究の視野であるサービスマネジメントや知識科学の視点から先行研究をまとめるとともに、その関連・隣接研究分野からも主な論点を取り上げた。その結果として、「おもてなし」の概念や考え方は論者・研究者によっても様々であり、また、「おもてなし」を提供する旅館などでも、経営者や女将独自の考えや理念に従い、様々な形でのおもてなしを提供していることを指摘した。 事例研究においては、本年度は、熊本県の「黒川温泉」と石川県和倉温泉の「加賀屋」を対象に行った。事例研究に際して、リサーチクエスチョンに対応する十分な文献資料のレビューを踏まえ、各事例の課題と論点を明確にした上で、実際に現地に赴き、各担当者や責任者へインタビューとフィールド調査を行った。その結果、これまでの文献資料や先行研究だけでは分かりえなかった、おもてなしと経営(マネジメント)に関わる知見や示唆が得られた。 こうした一連の調査研究の結果に考察を加え、5月(横浜)、8月(福岡)、10月(名古屋)に国内の学会発表、9月(日本)と10月(タイ)に国際会議にて研究発表を行った。さらに、12月には英文ジャーナルに論文が掲載され、平成29年7月には和文査読誌に掲載が予定されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初の計画では、先行研究レビューと事例研究を予定していた。現在までの進捗状況は、上述の通り、先行研究レビューが終わり、事例研究も進めている。さらに本年度は、次年度に計画していた顧客の口コミデータのテキストマイニングによる統計的定量分析のフィージビリティ・スタディに着手できた。その研究成果は、査読論文誌『日本経営システム学会誌』に受理され、2017年7月号に掲載予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画通り、別の事例研究を引き続き行う。現在は「星野リゾート」と「ポジティブドリームパーソンズ」について文献調査を行っており、今後はインタービュー調査を申し込み、さらに研究の深化を目指す。さらに本年度の顧客の口コミデータのテキストマイニングによる定量分析は、地域を限定したフィージビリティスタディであったが、平成29年度は、対象をおもてなしに優れた全国にある温泉旅館を厳選し、分析に行う計画である。先述の通り、当初の計画以上に研究が進展していることもあり、さらに事例研究の対象事例を増やすことも検討中である。
|
Causes of Carryover |
平成28年度の使用額が53000円程余った。これは2016年10月にタイのクラビで行われた国際会議(The Fifth Asian Conference on Information Systems)の旅費等について他機関から助成を得ることができた分に相当する。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の主な使用項目は、当初の計画通り、国内学会大会と国際会議の参加と報告にかかる参加費や旅費など、事例研究の対象企業訪問の旅費等に費やす予定である。その他、文献代、翻訳代、アルバイト代を支出する予定である。
|