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2018 Fiscal Year Research-status Report

農業を維持するためのツーリズムの条件に関する研究

Research Project

Project/Area Number 16K02097
Research InstitutionKurume Institute of Technology

Principal Investigator

大森 洋子  久留米工業大学, 工学部, 教授 (30290828)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywords農村景観 / 農家民宿 / 伝統家屋 / 文化的景観 / 阿蘇地方 / 農村ツーリズム / 牧野景観
Outline of Annual Research Achievements

前年度までに阿蘇地方の南小国町の農家民宿を中心としたグリーンツーリズムの調査を行ってきた。2018年度は2016年4月の熊本地震以降の阿蘇地方の観光政策と農業政策の現状を把握するために、資料収集と阿蘇地域振興デザインセンターや阿蘇地域振興局農林部等にヒアリングを行った。阿蘇地域振興デザインセンターでは地域の景観や農産物を活かした農業体験やトレッキング、郷土料理体験や温泉ツアーなど多くのコンテンツを創出し、地震後に減少した観光客は戻りつつあるが、国道57号線とJR豊肥線が未だ復旧されておらず生活や観光振興に支障を来していることがわかった。農家民宿については、分業体制がとられておらず、忙しい農家の主婦が民宿を経営することは困難であり続かないこと、また民宿の多くが農業以外の職業をリタイアした後に実家の農業を行いながら民宿を営んでいる事例が多いことが分かった。
阿蘇地方7市町村のカルデラ上4081.8haの牧野が2017年に国の重要文化的景観に選定され、広大な草原景観の価値が再認識されているが、牧畜農家の減少で牧野利用の目的が放牧や採草地から、阿蘇地方を代表する風景としての観光への活用が主になってきていることが分かった。しかし人口減少や高齢化により野焼きを行うことが困難になってきており牧野の維持が課題となっていることには変わりはない。牧野の維持については更に牧野組合や集落住民へインタビューを実施する必要がある。
農村景観の特徴については現地調査を実施し、これまで言われているようなカルデラ上の牧野、カルデラ壁の森林、カルデラ壁裾野の微高地の集落、カルデラ床の田畑という垂直の土地利用ユニットが大字単位でまとまっていることに加え、集落より高い位置に棚田が築かれている集落もあることが分かった。入会地の牧野をもち、牧畜を行っていない集落も野焼きを実施していることには変化はなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2016年4月16日の熊本地震により阿蘇地方は甚大な被害を受け、国道57号線とJR豊肥線が未だ復旧されておらず、復旧されていな集落もある。災害復旧が優先され、初年度は主に文献調査及び比較的被害が少なかった南小国町の現地調査を行い、次年度から調査の遅れを取り戻すべく現地調査を実施しようとしたが、被災住民の感情を考慮すると予定通りは進まなかった、それで一年研究期間を延長した。研究の進捗状況を以下に記述する。
①対象地域の農業の課題とグリーンツーリズムの課題を把握については、関係団体へのインタビューや資料によりほぼ把握しているが、カルデラ内の農家へのインタビューをもう少し増やす必要がある。また、海外からの観光客の動向は地震の影響で正確に捉えられていないので2019年度の続ける必要がある。
②対象地の農村景観の特徴とそれを形成している構成要素を現地踏査により把握し、マップとデータベースを作成する作業は終了している。分析にあたって補足調査が必要である。
③成功している海外のグリーンツーリズムの特徴を現地調査と資料により把握することにかんしては、イタリアやフランスについてはある程度終了しているのが、引き続き現地様さを行う必要がある。

Strategy for Future Research Activity

昨年度までに終了しなかった阿蘇カルデラ内の農家民宿の実態調査を把握するために農家民宿へのインタビューを実施する。また、海外からの観光客の動向について関係団体へのインタビューや資料の収集を続け、課題を分析する。
海外の事例については牧畜をメインとしている農村の農家民宿の調査を行い、阿蘇地方と比較分析する予定である。
農産物のブランド化を図ると共に農村景観を維持するためには、EUで実施されている原産地呼称制度の実施は必須と考える。日本でも地理的表示保護制度の導入を進めているが、普及しているとは言いがたい。何が課題なのか、どの程度地理的表示が進んでいるのか等について、農水省担当課へのインタビューや資料から分析する必要はある。
それらの結果をまとめて、農村景観を保全し、農業を維持するための課題を解決するツーリズムのあり方を考察し、条件を提案する。

Causes of Carryover

2016年の熊本地震により甚大な被害を受けた阿蘇地方の復旧がまだ終了しておらず、計画通りに現地調査が進んでいない。当初3年の研究期間を1年延長し、現地調査を行う予定である。予算は阿蘇地方の農村景観の補足調査と関係団体へのヒアリング調査の旅費、及び農家民宿で成功している事例の国内外の現地調査の旅費に使用する予定である。

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Published: 2019-12-27  

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