2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the tourism conditions for sustaining agriculture
Project/Area Number |
16K02097
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Research Institution | Kurume Institute of Technology |
Principal Investigator |
大森 洋子 久留米工業大学, 工学部, 教授 (30290828)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農家民宿 / グリーンツーリズム / 農村景観 / 農業の維持 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、阿蘇群高森町の集落調査と長年グリーンツーリズム(以下GT)に取り組んでいるNPOへのヒアリング、及び海外事例としてフランスのバスク地方の現状調査を実施した。その結果農業を維持するためのGTの課題として以下のことが分かった。 ①GTの課題として、フランスやイタリアなどのGT先進国と比較して日本ではGTを推進し先導する組織が育っていないことがあげられる。フランスやイタリアではGTを推進する全国的な組織があり、会員の農家民宿や農家レストランの経営について指導を行っている。これらの国では農家民宿の質的なランク付けを行っており、国内の農家民宿一覧の中から宿泊者が場所やグレイドにより好みの民宿を見つけ易くなっている。日本ではGTを指導する組織がなく個々の農家の努力で維持されているが、農作業が忙しく宿泊者の食事の提供ができず挫折している例が多い。食事と宿の提供を分業する体制や、様々な補助メニューを使いこなす等の事務処理を支援するDMO的な組織が必要である。 ②農業の課題としては農産品のブランド化ができていないことが挙げられる。EUではEU法の原産地名称保護制度が有効に働き農産物や加工品のブランド化が確立しているが、日本では地理的表示保護制度が平成26年より発足しているもののまだ日が浅くブランド化に至っていない。 ③地域の農村景観を構成している農家住宅や土蔵、納屋などの伝統家屋が、一般的な現代建築に建替えられ、客が求める農村のイメージと乖離してきていることも課題である。 ④GTの維持が課題となる中で、20年に及び活動をしている福岡県八女市のNPOでは専属の事務職員により、訪問客の仲介、農林業研修会の主催、県主催の講習会や研修会の請負、地場産品を直接消費者へ発送する活動で資金を得てNPOを運営している。地域の自治組織の運営にも協力している。このNPOにより地域のGT活動が続けられている。
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