2016 Fiscal Year Research-status Report
観光資源として活かすための八重山諸島群の伝統染織物についての研究
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16K02101
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
又吉 光邦 沖縄国際大学, 産業情報学部, 教授 (50269172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久田 多恵 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (40388187)
佐久本 邦華 沖縄キリスト教短期大学, 保育科, 講師 (90772559)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2021-03-31
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Keywords | 絣 / 紅型 / 形付 / 繊維 / 桐板 / デザイン / 藍染 / 模様 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、研究に必須な購入機器などを購入し、竹富島の喜宝院蒐集館収蔵の染織物の調査を行った。購入機器のリストとその個数は次の通り。 (1) 分光測色計CM-2600dポータブル分光測色計 1式 (2) Sanwa Supplyデジダル顕微鏡400-CAM025 ポータブル 3個 (3) CELESTRONデジタル顕微鏡II CE44341 2個 今回の調査では、次のような分担で調査を実施した。又吉光邦(研究代表者)は、幻の繊維と呼ばれる桐板を用いた衣装1点、ならびに風呂敷1点を分光測色計CM-2600dポータブル分光測色計を用いて調査し、また形付(紅型)の踊り衣装1点、桐板衣装と風呂敷各1点、形付(紅型)端布3点、細糸芭蕉端布5点をSanwa Supplyデジダル顕微鏡400-CAM025とカメラを用いて調査した。これらにより繊維の詳細が分かるデジタル画像データを得ることができた。久田多恵(研究分担者)は、絣端布の絣模様や繊維について200件、浮き織り技法の細帯について35件をSanwa Supplyデジダル顕微鏡400-CAM025とカメラを用いて調査。それらにより繊維の詳細が分かるデジタル画像データを得ることができた。佐久本邦華(研究分担者)は、浮き織りの手拭い19件、尚順男爵の形付(紅型)手拭い1件、風呂敷(藍染、形付(紅型))5件、形付(紅型)端布4件と形付(紅型)踊り衣装1件のデザインについてカメラを用いて調査。それにより衣装と風呂敷の形付(紅型)のデザイン、手拭いのデザインについてのデジタル画像データを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度よりスタートした本研究課題は、初年度の予定である竹富島の喜宝院蒐集館の古布裂の調査を行いました。調査では研究代表者1名、研究分担者2名がそれぞれの立場から多くの情報をデジタル画像データとして収集しました。 まず、分光測色計を用いて、桐板(トンビャン、ドンビャン)と呼ばれる幻の繊維で作られた衣装1点、ならびに大風呂敷のデータを収集できましたので、次回以降の調査では、分光測色計による桐板の繊維の同定が可能になるのではないかと期待できます。その一方で、桐板の繊維を直接採取し、それとの比較検討も行う必要性も出てきました。また、デジタル顕微鏡を使用しての調査では、細芭蕉布と呼ばれる貴重な古布裂に芭蕉繊維だけを用いたものでない古布裂が多々あることを発見しました。今後、他地域での古い時代の芭蕉布についてのデータを増やすことで、今回の知見が、竹富島固有のものなのかを明らかにできればと考えています。 次に沖縄地方でティーサージと呼ばれる手ぬぐいのデザイン、風呂敷のデザインについて調査し多くのデータを収集できたので、今後、各地域に残るティーサージと風呂敷のデザインの手法・技法等の調査に役立ちます。またそれらの調査によりそれぞれの地域のデザインにおける共通性・非共通性などの理解を深められると考えています。ここで、大きな風呂敷などの撮影方法に関する当初想定していなかった問題に遭遇したため、平成29年度以降ではそれを解決してデザイン技法についての調査に万全を期したいと考えています。 最後に、調査した古布裂には現在用いられていない織の技法が確認できました。そこで、それらのいくつかをまず復元しようという取り組みを始めています。この復元作業によって調査だけではわからない、様々な知見が新たに得られるものと期待しています。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方法において研究計画の変更を考えています。平成29年度は八重山諸島群小浜島の染織物を中心に調査研究する予定でしたが、昨今の東アジアと東南アジアの地政学的な国際情勢に鑑み、与那国島の染織物についての研究を先に行うことを考えています。それに伴い研究を遂行する上で一部研究費の前倒しが必要となります。 使用する研究機器は、分光測色計CM-2600dポータブル分光測色計、Sanwa Supplyデジダル顕微鏡400-CAM025、CELESTRONデジタル顕微鏡IICE44341に加え、時間的に余裕があれば、地域の井戸水などの特性を調べたいと考えています。その理由は、糸や布を染める染料が水質によって大きく変化するからです。当地で使われている水の特性も合わせてデータとして取得しておくことで、それぞれの島々における染色についていっそうの理解が深まるものと期待できます。 一方、平成28年度の調査で明らかとなった解決すべき問題としては、大きな風呂敷、幕、あるいは衣装全体の画像を撮る方法です。衣装やその他の大きな布地に何らかの模様や文様がある場合、それら全体をカメラでデジタルデータとして保存し、全体の中での模様や文様の配置などを構図で捉える必要があります。しかしながら、大きすぎるものだと全体像をカメラに収めにくいことが今回明らかとなったため、それらの解決策を講ずる必要があると判断しており、そのための手作りの仕掛けを現在考案中です。
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Causes of Carryover |
購入した機器が定価よりも安く購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降に於いて、充分な資料を確保するため資料閲覧・借用料に係る支払金額として用いる。
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Research Products
(1 results)