2019 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of Temporal Realism Based on Fugitive Truth
Project/Area Number |
16K02108
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
加地 大介 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (50251145)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 真理 / 絶対主義 / 文脈主義 / 相対主義 / 時間的実在論 |
Outline of Annual Research Achievements |
真理の時点依存性については、それが真理評価の時点に依存すると考える、真理についての相対主義者J.マクファーレンに対し、絶対主義者であるH.カペルンとJ.ホーソン、時間主義者であるB.ブロガートのいずれもその点について異を唱えているが、時制命題の内容そのものは固定されたうえで真理の時点依存性が生ずるのか否かという点については、マクファーレンやブロガートが肯定するのに対し、カペルンとホーソンはそれを否定している。このような異同がどのような事情で発生するのかについて検討した結果、次のような事情が判明した。 命題の文脈依存性について、カペルンとホーソンは、命題に含まれる指標的表現による命題内容の文脈依存性しか認めていないため、そのような文脈依存性を取り除けば真理に関しては絶対主義の立場を保持できると考えたのに対し、マクファーレンやブロガートは、それに加えて、固定された命題内容に対して付与される真理値が文脈依存的となる場合も認めているため、真理の時点依存性を主張している。そのうえで、そのような文脈依存性に基づく真理の非指標的文脈主義の立場を採用したのがブロガートであるのに対し、それよりもさらに徹底した文脈依存性としての評価依存性をも加えて導入した結果として真理の相対主義を主張したのが、マクファーレンである。 現時点では、上記のような判定に基づきつつ、基本的にはブロガートの立場である時間主義の立場に立脚したうえで、そのような形での真理の時点相対化に対して提示された、カペルンとホーソンによる不必要性の主張とマクファーレンによる不十分性の主張との双方の妥当性について検討し、それらに対する反駁を試みる論文を作成しているところである。このような考察によって、時間的実在論を真理論的な観点のもとでより強固に根拠づけることができると考えている。
|
Remarks |
コラム「アリストテレスとIT」、埼玉新聞「経済コラム:研究者の眼」no.231 (2019年7月26日付)
|