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2019 Fiscal Year Research-status Report

ヘノロジー概念に基づく形而上学史の構築‐哲学史のグランド・セオリーをめざして‐

Research Project

Project/Area Number 16K02119
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

福谷 茂  京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (30144306)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2021-03-31
Keywordsヘノロジー / カント / プラトン / シェリング / スピノザ
Outline of Annual Research Achievements

本研究の眼目である「哲学史のグランド・セオリー」に照らして、本年度はプラトン、カント、シェリングの間に認められるヘノロジーとしての一貫性という点に留意した論文の準備に没頭した。
具体的にはカント『遺稿』をプラトンの『ティマイオス』篇を用いて解明するため、シェリングの最初期の『ティマイオス』篇研究ノートを活用できるという着想である。この研究ノートは実際にプラトン『ティマイオス』篇とカント『純粋理性批判』とを付き合わせたものであり、未完ではあるが、われわれの着想にとっては支えとなるものである。
しかし三者の連関は並列ないし比較によってだけでは尽すことのできない深みを持っている。この点がヘノロジー概念の投入によって明るみに出る。
カントの『遺稿』の哲学史的な意義は決してカント哲学の中に止まり続けるだけは捉えられない広がりがある。『ティマイオス』篇のコスモロジーをいわば再建されたイデア論として見る藤澤令夫の業績に学びつつ、ここで現れた「コーラー」をこの問題をめぐる最終結論とは見ずにヘノロジーとしての展開をさらに持ったものとして捉えることがカント『遺稿』を視野に収めることによって可能である。このような着想の展開においてスピノザもまた接近してきたことが収穫であった。
退職および転居という悪条件に災いされただけではなく、新型コロナ対策によるキャンパス閉鎖に伴って研究室が利用できなくなったこと、さらには当該研究を発表すべく企画されていた研究会等が開催できなくなったので、公表は今後にねばならなくなったことを遺憾とする。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

「研究実績の概要」にも記したことであるが、退職と転居という個人的事情および新型コロナ予防のために研究拠点・施設の活用が不自由になってしまったこと、研究の発表の場が延期を重ねていることなどが外的な理由であり、内在的な理由としては新たにプラトンについても研究状況の調査と修得が必要となったため、この点に時間を割かざるをえなくなったことなどに基づいて、「遅れている」と判断せざるをえなくなっている。

Strategy for Future Research Activity

研究の進展は研究の視野の拡大と進化を招き研究目的も修正を加えざるをえなくなっている。研究課題の具体的な遂行としてのモノグラフィーだけではなく、本研究課題がベースとしているところの「ヘノロジー」概念についても総合的な概観を目的とする論文を公にすべき時が来たと自覚している。このため基金としての延長申請を考慮に入れて研究を推進したいと考えている。

Causes of Carryover

前勤務先退職のあと生じた個人的な諸々の悪条件および研究テーマそのものの予想外の広がりという事態に直面した。このため新しい体制を整えるのにしばらく時間を必要とすることになったが、新勤務先に移行したので立て直して所定の計画を遂行したい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 書海按針2019

    • Author(s)
      福谷 茂
    • Journal Title

      Prolegomena

      Volume: 9 Pages: 9-39

    • DOI

      10.14989/241368

    • Open Access

URL: 

Published: 2021-01-27  

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