2016 Fiscal Year Research-status Report
日独両国の赤ちゃんポストと関連諸問題における出自を知る権利の扱いに関する研究
Project/Area Number |
16K02125
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
Tobias Bauer 熊本大学, 文学部, 准教授 (30398185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
床谷 文雄 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (00155524)
山縣 文治 関西大学, 人間健康学部, 教授 (10159204)
阪本 恭子 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授(移行) (20423098)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 倫理学 / 社会福祉学 / 赤ちゃんポスト / 国際比較 / 出自を知る権利 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度科学研究費助成事業交付申請書の研究計画に基づき研究を実施した。主に、近年のドイツにおける「赤ちゃんポスト」に関する議論及び研究成果の整理と分析を行った。本プロジェクトのメンバー全員が随時に連携を取り合いながら共同研究を行い、2回の打ち合わせ会・研究会を行った(平成28年7月 於:大阪大学 および平成29年3月 於:熊本大学)。「出自を知る権利」に特に注目しながら、2014年の「内密出産制度」の導入前後に発表された数多くの研究論文、見解や鑑定書などを精確に把握し、分野ごとに整理し、各分野において重要と思われるものについての分析を行った。具体的には、 1 資料調査及び資料収集 ― 本プロジェクトのメンバー全員が本プロジェクトの主眼である「出自を知る権利」の観点を中心に各分野において文献調査を行った。 2 重要なテキスト(ドイツ)の分析 ― 各分野において重要と思われるテキストを抽出し、その分析を行い、各分野にみられる主な立場や論拠を整理した。特に、匿名の精子提供により生まれた人が病院等に提供者の開示を求めることができるという、2013年2月にHamm高等裁判所が下した判決も分析した。とりわけ、この「出自を知る権利」を「匿名性を守る権利」より優先させた判決の理由付けに注目し、赤ちゃんポスト問題や匿名産制度への影響を論じる論文等も分析した。 3 さらに、それと平行して、日本の関西地方において赤ちゃんポストを新設しようとする動きとそれに伴う議論を観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に計画している、赤ちゃんポスト問題における「出自を知る権利」の日独比較研究を予定通り実施するために必要な準備を十分に行えたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度内にドイツの「内密出産制度」に関する調査報告が公開される予定であるため、それを入手して「出自を知る権利」の観点から分析していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の研究に必要な資料の中には、ドイツの関連機関や連携研究者から無償で提供された資料やオンラインで入手できたものも多く、物品費の節約となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の未使用分は、最終年度に計画している国際シンポジウムの経費にあてる予定である。
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