2016 Fiscal Year Research-status Report
概念の非定義的側面が科学において果たす役割の哲学的検討:生物分類学を例にして
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16K02137
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
網谷 祐一 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (00643222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊勢田 哲治 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80324367)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 種 / 定義 / 還元主義 / プロトタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書の研究計画欄では、本研究助成における三つのプロジェクト――1. 一般種概念と個々の種の定義の関係、2. 「種問題に対するパーフィット的還元主義」の提起、3. 生態学における種――について記した。2016年度は主に1.で具体的研究実績があったのでそれについて述べる。
1. 一般種概念と個々の種の定義の関係についての発表および論文投稿。上に述べたように研究代表者は一般種概念と個々の種の定義の関係についての論文を準備していた。これについて2016年度は草稿に基づいた発表(題名:What Biologists Talk About When They Talk About Species)を第3回東アジア現代哲学会議(2016年8月、於ソウル国立大学、韓国)にて行った。またその学会で知己を得たシンガポール国立大学のAxel Gelfert氏から招待され、代表者は同年12月には「複雑な社会的世界における科学的論争」ワークショップ(於シンガポール国立大学)にて上の議論を発展させた考察を"Doing Science without Theoretical Commitment: Exploratory Research and The Structure of the Concept of Species"という題目にて発表した。なおこうした発表で得たフィードバックを元に論文草稿を完成させ、研究代表者は2017年2月には国際誌に投稿し、現在査読中である。 また研究代表者は本プロジェクトの着想の源の一つである認知心理学における二重過程説と科学者の思考様式の関係を扱った著作『理性の起源』(河出書房新社)を発行し、幅広い分野の研究者に読者を得た。さらに進化論と歴史の関係について「『歴史』は生物学に何をもたらしたか」(哲学年報=北海道哲学会発行、63号、27-41頁)を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(2016年度)の研究進捗状況は、上で記した三つの主な研究プロジェクトのうち第一のもので進展が見られたため、全体として順調に推移したと言える。以下個別のプロジェクトについて進捗状況を述べる。
1. 一般種概念と個々の種の定義の関係についての論文。上で述べたように2016年度は研究代表者は本項目に関する研究発表を国際学会・ワークショップで二度行った。その際に得たフィードバックをもとに代表者は草稿を改稿し、英語論文を国際哲学雑誌に投稿し、現在査読中である。 2. 「種問題に対するパーフィット的還元主義」の提起についての共著論文。このプロジェクトについても研究代表者は共著者(研究分担者)との緊密な連携の元に研究は進展しており、後述のようにこのテーマに基づく研究発表を国際学会にて行う予定である。 3. 生態学における種についての論文。代表者は論文の構想を発展させている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画について、上の三つに沿って述べる。 1. 一般種概念と個々の種の定義の関係についての論文。上に述べたように研究代表者は論文を投稿中であるので、2017年度中の採択を目指す。 2. 「種問題に対するパーフィット的還元主義」の提起についての共著論文。上に述べたように2017年度は、研究代表者と研究分担者は7月にブラジル・サンパウロ大学にて行われる「国際生物学の歴史・哲学・社会研究学会」にて"What can species theorists learn from Parfit?"という題名にて研究発表を行う予定である。 3. 生態学における種についての論文。2017年度には、研究代表者は議論に必要な生態学教科書・論文の調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2016年度は海外出張用経費(交通費・宿泊費)として35万円を計上していたが、研究代表者が8月に行った出張の目的地がソウル大学(韓国)であったこともあり、計上金額を下回った。また12月のシンガポール国立大学での発表(研究代表者)については先方からの招待であり、交通費および現地での宿泊費について全額助成を受けた。さらに2017年度に研究代表者が遠方(ブラジル・サンパウロ大学)への出張を予定していたこともあり、ある程度の予算を残しておくことが研究業務のスムーズな執行に不可欠であると判断し、それに配慮した予算執行になった。これが次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「今後の研究の推進方策」で述べたように、2017年度は研究代表者・分担者がブラジル・サンパウロ大学にて開催される学会にて研究発表を行う予定である(約45万)。残余金額については消耗品および国内旅費にて使用予定である(約35万)。
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Research Products
(4 results)