2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K02143
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
金光 秀和 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (50398989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直江 清隆 東北大学, 文学研究科, 教授 (30312169)
北野 孝志 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 教授 (20390461)
紀平 知樹 兵庫医療大学, 共通教育センター, 教授 (70346154)
本田 康二郎 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (40410302)
寺本 剛 中央大学, 理工学部, 准教授 (00707309)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 技術哲学 / 技術倫理 / 最先端技術 / ロボット / AI / 身体 / ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、ドイツのDarmstadtで開催されたThe Society for Philosophy and Technology 20th biennial meetingに参加し、代表の金光が「AI and Expert: Expert Knowledge in the Age of Artificial Intelligence」をオーガナイズし、また個人でも研究発表を行った。これによって、emerging technologyの一つであるAIがもたらす問題について、その哲学的考察の一端を国際的に発信することができた。 第二に、emerging technologyのあるべき姿を考慮するための理論的考察として、人工知能を取り上げて国際ワークショップ(Workshop “Body in the Age of AI”)を2017年11月に東京で開催した。このワークショップでは、数多くの技術哲学者が集うオランダのUniversity of Twenteで人間とロボットの関係について精力的に研究を進めているNicola Liberati氏、および代表の金光が提題を行い、参加者らと議論した。その議論においては、今後intimacy概念を検討する必要があることが明らかになった。 第三に、技術的発展が進むケアの領域と技術哲学の知見を結び付けるための考察を行った。2018年2月に「平成29年度 精神医療倫理科研・技術哲学科研・合同研究会」を科研費基盤研究(C)「応用倫理学における精神医療倫理と合意形成」(課題番号15K02007、研究代表者 屋良朝彦)と共催で東京で開催し、各メンバーが発表すると同時に、技術哲学とケアの接点について議論し、技術哲学の知見をさまざまな領域に適用する必要性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、emerging technologyについて社会的提言を取りまとめる予定にしていたが、人工知能学会が2017年2月に倫理指針を公開するなど学会レベルでの取り組みが進んでおり、目標を再設定する必要に迫られたため。社会的状況およびこれまでの研究成果などに鑑みて、本科研費はより理論的な問題の考察(たとえばAI時代における身体性の考察など)に目標を再設定することとした。 また、当年度では技術哲学に関連した教育を調査することも計画されていた。これについては、金光がThe Society for Philosophy and Technology 20th biennial meetingに参加した際に、インタビュー調査などを実施した。その結果、デザインの領域や企業活動の領域での技術哲学に関連した教育について考察する必要のあることが明らかになってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、技術の教養教育のためのシラバス案を作成する。当初は30年度9月にシドニーで開催される4S学会でシラバス案を発表する予定であったが、emerging technologyについてさらに理論的考察を進める必要があり、目標を再設定せざるを得ない。8月に開催される当学会でそのためのパネルを組んで、理論的に考察すべき項目の再検討を行う予定である。また、大学における教育だけではなく、企業における教育についても検討する予定である。具体的には、技術哲学の知見、emerging technologyの哲学的・倫理的検討の知見を踏まえた、企業研修の内容・実施可能性について検討する予定である。 第二に、本年度が最終年度となるため、最終的な成果を公表して評価を受ける。当初は現象学・人間科学学会(Society for Phenomenology and the Human Sciences)や実践的倫理・専門職倫理協会(Association for Practical and Professional Ethics)などを発表の場として考えていたが、2018年12月に京都で第11回応用倫理国際会議が実施されることになったので、これも発表の場として検討する。メンバー間での議論に加えて、各種学会での発表を経ながら、最終的なシラバス案については、アメリカ・メリーランドで2月28日から3月3日に開催されるAssociation for Practical and Professional Ethics The 28th Annual Conferenceで発表する予定である。
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Causes of Carryover |
当年度の国際ワークショップに招聘したNicola Liberati氏の旅費について、氏が日本現象学会に参加するために来日した折に開催したために旅費を節約することができた。また、技術哲学の教育の現状調査についても国際学会に参加した際にインタビュー調査を実施したために旅費を節約することができた。こうして節約できた部分については、最終年度の成果発表のための旅費として使用する予定である。
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