2016 Fiscal Year Research-status Report
「経学史」の成立とその歴史的展開に関する研究―湖南経学と日本中国思想研究の邂逅
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16K02154
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
井澤 耕一 茨城大学, 人文学部, 教授 (00455908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 昭典 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (20379522)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 儒教 / 経学史 / 中国史 / 皮錫瑞 / 劉師培 / 馬宗霍 / 日本における中国学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、いわゆる20世紀初頭の「経学史」成立とその後の歴史的、地理的展開について、従前の史書を実証的・批判的に検証し、新たな経学史の再構築を図るものである。そのため、1936年に刊行された馬宗霍(1897-1976)『中国経学史』などを訳出して、湖南経学の実相を明らかにするとともに、それが特に日本の昭和初期における中国研究に与えた影響についても考証する。初年度にあたる昨年度の研究成果は以下のとおりである。 ①20世紀初頭以降の経学大師である、皮錫瑞(1850-1908)、劉師培(1884-1919)、馬宗霍の経学思想研究……代表者、分担者が共同で執筆した「『経学歴史』の制作過程にみる皮錫瑞の経学観ー手稿本と通行本との比較からー」を『日本中国学会報』第69集に投稿した。また研究代表者は一昨年度完成させた劉師培『経学教科書』の訳注に引き続き、同じく劉氏の『中国歴史教科書』訳注(一)を作成し、『茨城大学人文学部紀要 人文コミュニケーション学科論集』第22号に掲載した。さらに研究者各人が馬宗霍『中国経学史』についての考察と訳稿作成を進めていった。 ②研究会の開催および文献調査……①の過程において明らかになった問題点や課題を解決・整理するために、研究会を5月29日および7月15日~17日に、関西大学総合図書館で開催した。その際研究者・分担者が、作成した論考について議論を重ね、改訂作業も同時に行った。また関西大学総合図書館所蔵の書籍を丹念に検索して、湖南経学が日本の学術界に如何に流入していったのか、その足跡をたどった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ただし『中国経学史』訳注作成について、投稿論文の作成に大きく時間を取られたため、当初の計画よりやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、訳注作成の速度を上げ、さらに研究会開催の回数と期間を増やして、期間内の計画遂行を目指す。 研究を進めていく過程で、経学史のみならず、清末における中国古代史研究の実相を明らかにする必要が出てきたため、古文経学派の劉師培および今文経学派の夏曽佑著の中国古代通史の訳注作成も今年度に引き続き行っていく。
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Research Products
(5 results)