2020 Fiscal Year Research-status Report
「経学史」の成立とその歴史的展開に関する研究―湖南経学と日本中国思想研究の邂逅
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16K02154
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
井澤 耕一 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (00455908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 昭典 奈良教育大学, 国語教育講座, 教授 (20379522)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中国近代経学史 / 皮錫瑞 / 馬宗霍 / 劉師培 / 夏曽佑 / 日本近代思想史 / 近代以降の日中学術交流史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀前期、中国や日本で成立したいわゆる「経学史」の歴史的、地理的展開について、従前の史書を実証的かつ批判的に検証して、新たな「経学史」の構築を図るものである。そのため主に1936年に刊行された、湖南の経学者、馬宗霍『中国経学史』を訳出して、当時の湖南経学の実相を明らかにするとともに、湖南経学が同時代の日本の中国研究に与えた影響についても考察する。延長1年目にあたる2020年度の研究成果は以下の通りである。 ①20世紀初頭以降の学者である夏曽佑、劉師培、馬宗霍の経学史観を究明する作業を進めた。代表者は、前年度に引き続き、劉師培『中国歴史教科書』、夏曽佑『最新中学教科書 中国歴史』の訳注稿を作成し、その成果を『茨城大学人文社会科学部 人文コミュニケーション学論集』にて発表した。また研究代表者・分担者は馬宗霍『中国経学史』についても考察と訳注稿作成も進めており、その成果は今後『奈良教育大学国文』誌上にて発表する予定である。 ②上記の訳注作成を行う際、その過程で明らかになった問題点や課題を解決・整理するため、研究代表者・分担者は、作成した論考についてメールなどを使用して(コロナ禍のため対面しての議論は叶わず)議論を重ね、改訂作業を行った。また訳注の草稿も同じくメールを使用して推敲作業を行った。 ③代表者および分担者は、清末期の経学者、皮錫瑞についての論考「従『経学歴史』的創作過程看皮錫瑞的経学史観 :手稿本和通行本的比較」(中国語)を書き上げ、それを清華大学・彭林教授主編『中国経学』(広西師範大学出版社)投稿し、8月に発行された第26輯に掲載された。 ④代表者は、11月8日にオンラインで開催された、日本思想史学会2020年度大会において「松崎鶴雄:生涯とその学問」という題目で、20世紀初頭の湖南経学と日本の学術界との交流に関する口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年3月に予定していた湖南省内における史跡調査が、新型コロナウィルス感染症の世界的流行により再度の中止となったため、以上のように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、3月までに湖南省内の調査を必ず行い、その成果は学会発表や論文で公にする。
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Causes of Carryover |
2021年3月において実施予定であった湖南省内における史跡調査が、新型コロナウィルス感染症の世界的流行のため再度不可能になったため、残額が生じた。よって2022年3月までに湖南省長沙市およびその周辺を訪問し、清末から民国期にかけての経学史に係る史跡の現状調査を行って、全てを使用する。
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Research Products
(6 results)