2018 Fiscal Year Annual Research Report
インド・チベット密教術語集成構築のためのタントラ注釈文献の綜合的研究
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16K02165
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊谷 竜太 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (50526671)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 『アームナーヤマンジャリー』 / アバヤーカラグプタ / 『サンプタタントラ』 / ラトナーカラシャーンティ / インド密教 / 密教注釈文献 / 『アバヤパッダティ』 / 『ムクターヴァリー』 |
Outline of Annual Research Achievements |
『アームナーヤマンジャリー』の新出梵蔵バイリンガル写本にもとづいて同書第1章の校訂・訳注作業を昨年度(2017年度)に引き続き進めている。2018年度は、一昨年(2016年)度の作業終了分とあわせて第1章の半分ほど内容の解析を進めることができた。 作業の過程において『アームナーヤマンジャリー』の並行箇所が同じくアバヤーカラグプタのブッダカパーラ注『アバタパッダティ』、ラトナーカラシャーンティの『クスマーンジャリ』・『ムクターヴァリー』に見出されることが明らかになった。写本の解析作業とあわせてこれらの並行箇所の比定と異読の収集を進めている。『アームナーヤマンジャリー』には膨大な引用箇所が見出され、第1章についてもすでに苫米地等流博士によって引用転籍の比定が行われているが(苫米地[2007])、残された未比定の部分も含めて並行箇所の精査に当たった。これらの成果の一部については、印度学仏教学会をはじめ各学会で発表し、その一部については出版準備を進めている。 ただし、採択当初の計画ではまだ『アームナーヤマンジャリー』の梵文写本が見つかっていなかったため、新しく発見された梵文写本にもとづいて研究計画の再構築を迫られた。再構築による延長計画については、新たに採択された研究課題(「『アームナーヤマンジャリー』梵蔵バイリンガル写本に基づくインド密教注釈文献の研究」(課題番号19K00055))にて引き続き進めていく予定である。
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