2020 Fiscal Year Research-status Report
韓国における公的な死者顕彰・慰霊システムの形成に関する研究
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16K02182
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
田中 悟 摂南大学, 外国語学部, 准教授 (90526055)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 現代韓国 / 葬墓文化 / 死者 / 顕彰 / 慰霊 / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦死軍人・殉職公務員にとどまらず、独立運動家・民主化運動家・社会貢献者など、多種多様な経歴を持つ人々を取り込み、今もなおダイナミックな変容を見せている現代韓国の「公的な死者顕彰・慰霊システム」に注目し、宗教学的かつ政治学的な分析を加えることを目指すものである。具体的研究項目は、(1) フィールドワークを通じ、公的な死者顕彰・慰霊の変容とその実態について明らかにする、(2) そうした変容にともなって生じる社会的なコンフリクトの動向分析を行なう、(3) 現代韓国社会における「公的な死者の顕彰・慰霊」をめぐる議論が蔵する含意についての読み解きを進める、の3点に集約される。 まず、本年度のフィールドワークおよび資料調査(夏期および冬期に韓国で実施を予定)については、新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって出入国が制限され、計画通りに行なうことは叶わなかった。また、研究報告の機会(日本宗教学会ほか)も本務校における新型コロナウイルス対策との関係で都合がつかず、参加を予定してきたものを見送ることになった。これについては、年度末に代替的な研究報告の機会を得た(田中悟「現代史の「葛藤」をいかに「記念」するか―京畿道高陽市を事例として―」龍谷大学LORCインクルーシブツーリズム研究会、2021年3月12日)ので、それらの内容を論文化し、次年度以降に改めて研究成果を刊行する予定である。 その他、本年度中に刊行された木村幹・田中悟・金容民〔編著〕『平成時代の日韓関係』(ミネルヴァ書房)には、本研究の成果の一部が反映されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度まではおおむね順調に推移していたが、本年度については、新型コロナウイルス感染症の影響で、フィールドワーク・研究報告の予定の大部分を実行することができなかった。これらの計画については次年度において実施する予定である。 以上の理由から、現在までの達成度は「やや遅れている」と評価するのが妥当であると考えられる。なお、ここで発生した遅れについては、次年度への繰り越しによって達成が見込まれるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の対象である現代韓国の「公的な死者の顕彰・慰霊システム」は、現在進行形で形成されているダイナミックな事象であるため、継続的なフィールドワークおよび資料・情報の収集は必須であるが、現在もなお、新型コロナウイルスの影響で、韓国における現地調査は実施が極めて困難な情勢である。 そのため今後は、日本国内でも可能な情報収集活動、およびこれまでの調査を基にした考察を取りまとめ、研究成果として公表することに力点を置いた活動を進めていく。
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Causes of Carryover |
①次年度使用額が生じた理由:新型コロナウイルス禍の影響で、予定されていた現地調査および研究交流が全面的に中断し、国内移動も厳しく制限される状況が続いたため、旅費・物品費等の執行予定に大きな狂いが生じた。 ②使用計画:次年度についても、調査対象である韓国との往来について先行き不透明な情勢が続いており、現地調査については取りやめを余儀なくされる可能性が極めて高い。その場合は、日本国内における研究活動に集中するものとし、国内において可能な情報資料収集と研究成果発表に専念する予定である。
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Research Products
(2 results)