2017 Fiscal Year Research-status Report
江戸時代における地域文化リーダー析出ツールとしての「狂歌」の総合的研究
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16K02198
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 章則 東北大学, 文学研究科, 教授 (10187990)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 狂歌 / 地域文化 / 享受 / 「知」的資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、江戸時代の地域文化を考察する際の有効史料である「狂歌」の多角的研究であり、研究成果を史料が好条件・未着手の状態で所蔵される欧州の機関と共有することを最終的な課題とする。 「狂歌」の史料性を特筆するのは、①19世紀に享受層を拡大させた「狂歌」が歌学関連書のみならず儒書や和漢の歴史書・地理書などの知見をフル活用できる幅広い教養の上に立って作成されており、②読書人である狂歌作者たちが全国的なネットワーク(連)を通じて地域に多用な人的・物的資源をもたらし、③その痕跡が諸種出版物の上に現れるからである。また④狂歌作者自身さらには末裔たちが江戸期の「知」的資源をもとに近代の地域文化の担い手となったと見られるからである。 このような狂歌人の遺した多岐にわたる「狂歌」史料の文化的な意義の認知度は低いが、海外の所蔵先等と広く意義・活用法を共有するならば、日本文化研究の新局面が創出されると考える。 研究の第2年度である平成29年度は、研究の今後の調査の指針を得ることが可能な地域を選択し調査に赴くとともに得られた史料の概括的な整理と必要な基本文献の整備に努めた。その主たる調査地は福島県いわき市・上越市直江津で行い、基本史料の確保は国文学研究資料館を中心に行い、研究報告を兼ねた講演をいわき市で行った。 また、研究の開示を前提とした海外での打合せ・報告会をセビリア(スペイン)・ライデン(オランダ)で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の展開を前提とした調査地域の再確認が順調に行われ、基本史料・重要史料の確保もできた(特にいわき市の調査)。また、研究成果を地域において公開し、海外での公開(ライデン)も行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度の課題設定・29年度の継続課題設定をうけ、調査地点の拡大と史料のさらなる確保に努める。また、公開性を高めるべく、地域におけるワークショップや講演会等の開催を行う。さらには、海外の研究機関との連携を図るべく、ワークショップなどを適宜設け、研究成果の報告・公開に努力する。
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Causes of Carryover |
(理由) 必要な史料の確保のために使用する予定であったが、金額が不足したため。 (使用計画) 購入予定の史料があり、その一部として使用する。
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Research Products
(3 results)