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2020 Fiscal Year Research-status Report

鈴木大拙の『大乗仏教概論』と、ウェーバーの比較宗教社会学へのその影響に関する考察

Research Project

Project/Area Number 16K02202
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

横田 理博  九州大学, 人文科学研究院, 教授 (10251703)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2022-03-31
Keywords鈴木大拙 / 『大乗仏教概論』 / 『大乗起信論』 / 釈宗演 / ポール・ケイラス / シカゴ万国宗教会議 / 『禅と日本文化』 / マックス・ウェーバー
Outline of Annual Research Achievements

1.鈴木大拙の1907年の英文著作Outlines of Mahayana Buddhism(『大乗仏教概論』)の刊行に先立つ『大乗起信論』英訳作業について考察し、『大乗起信論』の思想が『大乗仏教概論』の中で占める位置や、鈴木と同じく『大乗起信論』に着目した井筒俊彦の見解について検討した。また、『大乗起信論』の筆者という説もあったアシュヴァゴーシャ(馬鳴)の『ブッダ・チャリタ』に描かれた釈迦の生涯と思想を把握した。
2.鈴木の師である釈宗演の思想を、そのシカゴ万国宗教会議での講演内容やアメリカ講演録に表明された思想などを読み解いて把握した。釈の思想と、鈴木の思想形成のプロセスとを比較することを通じて、釈から鈴木への影響関係を探った。釈の戦争肯定論に対するトルストイの批判もチェックした。また、夏目漱石の『門』の描写を通じて漱石にとっての釈宗演像を把握した。
3.アメリカでの鈴木の滞在先であるポール・ケイラスの思想を、シカゴ万国宗教会議での講演内容やいくつかの著作をチェックして把握した。ケイラスの思想と、鈴木の思想形成のプロセスとを比較することを通じて、ケイラスから鈴木への影響関係を探った。『カルマ』と芥川龍之介の『蜘蛛の糸』との関係もチェックした。
4.鈴木大拙の1938年の英文著作Zen Buddhism and Its Influence on Japanese Culture、それに加筆されて和訳された北川桃雄訳『禅と日本文化』(1940年、岩波新書)と『続 禅と日本文化』(1942年、岩波新書)、1959年の英文著作Zen and Japanese Culture、この三つのテキストを比較することを通じて鈴木の思想内容の変化を探った。
5.マックス・ウェーバーの草稿『宗教的ゲマインシャフト』を改めて精読し、そこに表現された宗教理論や宗教観について考察した。これと『宗教社会学論集』とを相互補完的に把握することを通じてウェーバーの比較宗教社会学の全体像を明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1. 鈴木大拙と大拙夫人ビアトリスとの旧蔵書や書簡が保管されている松ヶ岡文庫(鎌倉市)、鈴木がアメリカで滞在していたラ・サールのThe Hegeler Carus Mansion(イリノイ州)、そして南イリノイ大学のオープン・コート文庫(the Open Court papers at Southern Illinois University)を訪れ、資料を調査し、鈴木の交友関係と思想的交流を探ることを計画していたが、2020年度は、新型コロナウィルスの流行により、鎌倉とアメリカでの資料調査はできなかった。
2.鈴木の『大乗仏教概論』で示されている“一つの根源が分化して個別存在に顕現しているのだから、個別存在はすべて本来一体である”という思想はどこに由来するのかを検討した。それは『大乗起信論』そのものに由来するものではないことを確認した。華厳哲学に由来するという可能性も含めて、その由来について探っていきたい。

Strategy for Future Research Activity

1.鈴木の80歳代のアメリカ滞在時の、老荘思想への関心、エックハルトへの関心、フロムとの交流、『禅と日本文化』改訂などに着目し、鈴木の思想の変化を追いたいと考えている。
2.マックス・ウェーバーの比較宗教社会学における「禁欲/神秘主義」または「神の道具/神性の容器」という比較の枠組みについて、その問題点を含めて考察したい。
3.新型コロナウィルスの感染状況が収束するなら、鎌倉の松ヶ岡文庫とアメリカの図書館・資料館に赴いて、鈴木の思想的交流の様子を探りたい。

Causes of Carryover

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、資料調査のための出張ができなかったため残額が生じている。感染が収束したら所期の計画を実行したい。

  • Research Products

    (2 results)

All 2021

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] 「鈴木大拙の『大乗仏教概論』についての考察(中の一)」2021

    • Author(s)
      横田理博
    • Journal Title

      九州大学大学院人文科学研究院編『哲學年報』

      Volume: 第80輯 Pages: 1~40頁

  • [Journal Article] 「鈴木大拙英文書簡、日本語訳、Ⅳ1956年1月~6月」2021

    • Author(s)
      鈴木大拙(酒井懋・横田理博訳)
    • Journal Title

      『公益財団法人 松ヶ岡文庫研究年報』

      Volume: 第35号 Pages: ー

URL: 

Published: 2021-12-27  

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