2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study on Daisetz Teitaro Suzuki's work "Outlines of Mahayana Buddhism" and its influence on Max Weber's comparative sociology of religion
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16K02202
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横田 理博 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (10251703)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鈴木大拙 / 『大乗仏教概論』 / マックス・ウェーバー / エーリッヒ・フロム / ポール・ケイラス / アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
1. エーリッヒ・フロムの思想を学び、彼がマックス・ウェーバーの研究成果をいかに活用して自らの思想を展開したのかを確認した。ウェーバーの「禁欲的プロテスタンティズム」論を継承し、さらに、宗教改革の支持者の心理とナチスの支持者の心理との類似に着目したのがフロムの『自由からの逃走』(1941年)であった。『人間自身のための人間(Man for Himself)』(1947 年)でフロムが、どのような生き方を望ましい倫理として示したのかについても考察した。 2. 1957年にメキシコでおこなわれた禅と精神分析についての研究会でフロムと鈴木大拙がそれぞれどのような報告をし、相互に何を学び合ったのかについて考察した。 3. ポール・ケイラスの著作やケイラス論を読み、ケイラス思想の理解を深め、鈴木への影響関係を明らかにした。 4. 三月末にアメリカに出張。南イリノイ大学カーボンデール校のモリス図書館で、鈴木大拙や釈宗演からポール・ケイラスに宛てられた書簡について調査した。また、ラ・サールの「ヘゲラー・ケイラス邸」を訪れ内部を見学するとともに、鈴木が居住していた家屋を見学。セントルイス万国博覧会の跡地のミズーリ歴史博物館、シカゴ万国宗教会議がおこなわれたシカゴ美術館も見学した。 5. 研究期間全体を通じて、鈴木大拙の『大乗仏教概論』の理解を深め、それがどのような思想の影響のもとに成立したのかを、仏教古典(『大乗起信論』と華厳哲学)、西洋思想(ショーペンハウアー)、鈴木の周囲の人々(釈宗演とポール・ケイラス)に即して解明した。ウェーバーの鈴木への言及に着目し、「世俗内的神秘主義」という類型について検討するとともに、ウェーバーと鈴木との接点として、セントルイスの「芸術・科学会議」への参加、ウィリアム・ジェイムズへの両者の関心、両者へのフロムの関心などについて考察した。
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