2018 Fiscal Year Research-status Report
<教養教育>に関する思想史研究ーデモクラシー下の市民的資質の観点から
Project/Area Number |
16K02203
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
井柳 美紀 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (50420055)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 教養 / 政治的教養 / 政治教育 / シティズンシップ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、デモクラシーの進展する時代における市民的資質との関連で教養のもつ意義を明らかにすることであり、特に、J・S・ミル、M・アーノルドなどを対象としつつ、19世紀イギリス思想史の文脈を中心に検討してきた。まず、(1)、図書では「第6章 デモクラシーの時代における市民と教養ーM・アーノルドとJ・S・ミルを中心にー」を執筆し、デモクラシーを担う市民の教育が19世紀イギリスにおいて、どのように構想されたのか、シティズンシップ教育(あるいは「政治教育」)の視点から、M・アーノルドとJ・S・ミルの思想の比較を通して考察した。具体的には、ミルのいわゆる参加民主主義論とそれに対するアーノルドの立場、二人の教養論が市民の教育との関わりでもつ意味、及び国家と教育との関わりについて比較検討した。その上で、これらの議論が現代日本でもつ意味について、具体的には主権者教育における教養の役割の重要性、及び政治的中立性のもつ政治的意味などについて若干の検討を加えた。(2)また、書評では、18世紀フランスの『百科全書』に関する研究書に関する書評として「定義することで、新しい哲学を生み出す」を執筆したが、これはフランスの教養知を代表する『百科全書』に関するものという点で本研究と繋がりのあるものである。さらに、(3)辞典における「ヴォルテール」の項目の執筆も、同様に18世紀を代表するフランスの教養知を代表する著作を執筆したヴォルテールに関して執筆したものであり、本研究におけるテーマと関連する成果である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内業務の関係で、資料収集等の出張が十分に実施できていないため、若干研究の進展が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、19世紀イギリスの教養論をそれ以前の教養史との関わりで位置づける作業等を行い、政治的教養のもつ意味について思想史的観点および現代的観点からの考察を加える。
|
Causes of Carryover |
前年度、出張できなかった分について、今年度、実施する。
|
Research Products
(3 results)