2020 Fiscal Year Research-status Report
<教養教育>に関する思想史研究ーデモクラシー下の市民的資質の観点から
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16K02203
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
井柳 美紀 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (50420055)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教養教育 / シティズンシップ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、デモクラシーの進展する時代における市民的資質との関連で教養のもつ意義を明らかにすることであり、これまで、特に、J・S・ミル、M・アーノルドなどを対象としつつ、19世紀イギリスの文脈においてデモクラシーの下での教養が市民的資質に与える影響について、狭義の政治的リテラシーにとどまらない、文学や芸術の役割を含めて考察を行ってきた。(1)今年度は、全体をまとめるかたちの論文を準備しており、教養教育の思想史の見取り図の中にこれまでの研究を位置づけるかたちの論文を公表する予定で現在執筆中である。刊行については、最終年の予定である。(2)今年度は、関連する研究として、18世紀フランス啓蒙期の知識人の知を代表する『百科全書』派に関わるものとしてディドロとルソーに関する政治思想を執筆したものが公表(昨年度は校正中として記載)されたほか、ディドロの政治思想に関するものも公表された。(3)本研究は、現代における市民的資質の育成の観点から教育の役割について考えていくことも目的としており、これに関連するものとしては、学外での講演会(公益財団法人明るい選挙推進協会主催の講演会、静岡県西部明るい選挙推進協議会主催の研修会、静教組立教育研究所の講演会、など)で講演しており、シティズンシップ教育を考察するものから、若者の政治参加に関することまで、現代的課題に引きつけた内容のものを実施し、本研究の成果を間接的なかたちであるが社会に還元することにも努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で国内外ともに出張が出来なくなり、また学内業務が多忙であったこともあり、調査、検証等の時間の確保が困難となり、当初の予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度まで延長することとし、現在、19世紀イギリスの教養論をそれ以前の教養史との関わりで位置づける作業を思想史的観点および現代的観点から考察を加えている最中であり、不足する資料については次年度も収集が困難と見込まれるため、現在ある資料と成果を活用して、最終年の成果として論文をまとめる。また、次年度は学会等でも公表する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、国内外の出張が出来ず旅費等の使用が発生しなかった。使用計画としては、次年度に公表する論文作成に関わる経費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)