2018 Fiscal Year Research-status Report
東アジアから考える日本ナショナリズム論-戦争の記憶・表象の比較思想史研究として
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16K02210
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
樋口 浩造 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (30243140)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 慰安所 / 慰安婦像 / 靖国 / エンロー |
Outline of Annual Research Achievements |
最も大きな実績は、2月に『暴力をめぐる哲学』として、一冊の本を編者の一人として刊行できたことである。また、その中に、「暴力を直視するー語りなおされる暴力をめぐって」と題した論文を収めた。そこでは、中国でのこれまでの調査を踏まえた著述を行った。 特に上海・南京の元慰安所や、慰安婦問題をめぐる戦争遺跡や記念碑について論じ、東アジアにおけるナショナリズムの在り方、また、戦争をめぐる歴史認識のねじれなどを問題として考察を加えた。また、3月に著者全員が集まり、外部者を評者としながら合評・討論を行うことができた。 ただし、年度の後半は体調を崩し、調査を継続することができなかった。特に中国瀋陽の九・一八紀念館での、9月に行われた中国人強制連行に関する集中展示と国際シンポジウムに参加できなかったことは、大変残念でならない。 しかしながら、愛知県大府での強制連行に関する一連の行事や、朝鮮学校に関する行事等へは、体調を見ながらではあるが参加し、ささやかながら研究の姿勢を継続してきた。 体調の回復が第一ではあるが、次年度は再度集中的な、中国での戦争記念碑等の調査を再開し、同時に国内でも地域に根差しながらの活動を再開したい。 さらに、戦後の日本のなかでマイナーな位置に置かれた方の、聞き取りも再開すると同時に、一層充実したものにしていきたい。戦後の運動の多くが、深刻な老齢化を迎えており、その継承や評価等、研究上果たすべき役割は大きいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
こつこつと現地調査を積み重ねてきているが、昨年後半は病気をしたこともあり、研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
体調を整えることが先決であるが、元の健康な状態に近いかたちで、現地調査等に行ける年度としたい。海南島の万人坑や広州の戦争遺跡と近代の歴史についてを、特に今年の調査目標と考えている。
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Causes of Carryover |
年度の後半、体調を崩し、調査が予定通り行えず予算の執行が、やや滞ったため。
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