2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K02213
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
小島 康敬 国際基督教大学, 教養学部, 特任教授 (70101590)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 乳井貢 / 儒学思想 / 礼楽 / 釈奠 / 釈菜 / 藩政改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は国文学資料館、筑波大学、青森県史編纂室、石川県立歴史博物館、蓬左文庫、京都市立芸術大学等々に出張し、儒学関連の典籍と史料を閲覧・調査し、必要箇所の複写、撮影を遂行した。青森県史編纂室では藩政改革における実務官僚達の理念と意識を支える思想的背景として、儒学思想がどのように働いたのか、士風の刷新を図る上で藩校での教育や儀礼・式典がどのように執行されたのかを明らかにすべく「国日記」を中心とした郷土史関係の文献を調査をした。また、前年度に引き続き、「国日記」に散見する「乳井貢」「宝暦改革」に関する記事の抽出に努めた。 儒学思想の根幹にある「礼楽」思想の展開が具体的にどのようなものであったかを明らかにすべく、「礼」においては諸藩での釈奠・釈菜儀礼に関する文献・記事の調査蒐集を試み、「楽」においては雅楽に関する文献・記事の調査をしたが、まだ調査は尽くされておらず、これら次年度以降の課題として残される。 乳井貢の主著『志学幼弁』全十巻の校訂作業の遂行。『志学幼弁』のスキャン画像からのテキストファイル化は前年度で完了しているが、そのテキストファイルを弘前市立館蔵の自筆本と言われるものを底本(自筆本であるかどうかは検討を要する)とし、刊本の『乳井貢全集』を対校本とし、併せてと照合し、スキャンミスの訂正を施した。その結果、データベースの元となるファイル版を作成した。そしてこれをもとに句読点を施す作業を開始した。現在のところ、巻十「礼楽」の半分ほどを終えた段階にあるが、次年度以降にこの作業は継続される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本務校での仕事と制約が多く、調査出張に十分な時間を割けなかった。 スキャン画像からテキストファイいるへの転換ミスが多く(もととなる活字本が古く、また返り点、一、ニ点、振り仮名が多用されている為)、その訂正に手間取った。
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Strategy for Future Research Activity |
弘前藩以外の諸藩において、儒学思想が藩政改革の指導理念としてどれほど影響をもったのかの史料調査を更に遂行する。 『志学幼弁』全十巻の信頼できるデーターベース版を作成すべく、校訂作業を続行してゆく。
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Causes of Carryover |
調査対象への出張が時間の都合で十分に実施し得ず、残余が生じた また、校訂作業と句点を施す作業に遅れが生じ、謝礼の支払い分に残余が生じた。 これらは次年度に繰り越して使用する予定である。
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