2017 Fiscal Year Research-status Report
シリア・キリスト教研究 - アラム的視点からキリスト教を問い直す
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16K02214
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
竹田 文彦 清泉女子大学, 付置研究所, 教授 (60319811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | キリスト教 / シリア / イスラーム / 聖書 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、科研費研究二年目として、先の一年目にしたシリア・キリスト教に関する研究についての成果を論文ならびに共著の形で公にするととともに、今年は、特にイスラーム勃興期においてシリアのキリスト教徒たちはそれをどのように受け止めたかを研究の焦点に学会、研究会等において研究発表を行い、論文を執筆した。
研究の具体的内容 1.発表・講演 (1) 「シリア・キリスト教徒たちの見たイスラーム勃興」 2017年6月17日 上智大学キリスト教文化研究所 連続講演会「イスラーム世界に生きるキリスト教」 上智大学にて (2)「修道士バヒラの伝説 - イスラーム勃興とシリア・キリスト教徒」 2017年9月4日 日本カトリック神学会第29学術大会 広島司教区 世界平和記念聖堂 広島カトリック会館にて。 2.出版 (1)「肝苦りさ」の心 - 神のいつくしみと私たちの回心」 上智大学キリスト教文化研究所編 『慈しみとまこと - いのちに向かう主の小道』 リトン 2017年 pp. 79-101. (2) 「シリア・キリスト教徒たちの見たイスラーム勃興」上智大学キリスト教文化研究所『紀要』 第36号 2017年 pp. 3-19. (3) 「シリア・キリスト教研究の勧め」 明治学院大学キリスト教文化研究所 ニュースレター第74 号 2017年12月。(4) 「シリア語訳聖書 - その歴史と意味」 芝山豊他編 『聖書から見るアジアの翻訳文化~周縁からの視点』 日本基督教団出版局 掲載予定。 (編集中)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目の昨年は、イスラーム勃興期におけるシリア・キリスト教徒の反応、受け止め方についての研究を行い、その成果の一端を学会発表し、論文にも出来たことが大きい。またシリア・キリスト教のシリア語原典の翻訳、専門研究書の出版に向けた翻訳作業もゆっくりではあるが、進んでいる。さらに、これまでの私のシリア・キリスト教研究をまとめた書物の出版も計画し、順調に準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
科研費研究三年目の今年は、夏に海外の大学、研究所への調査にも行くとともに、ヘレニズム期のシリア・キリスト教の在り方を主題とした「文化的対立から受容へ - シリアにおけるギリシア化の問題をめぐって」、さらにシリア・キリスト教独自の特徴ある修道生活に関する研究、「シリア・キリスト教における原始修道制 - 「単独者」の概念をめぐって」の執筆を進め、発表する。シリア・キリスト教のシリア語原典『エフライム 楽園賛歌』の翻訳、専門研究書のS.P. Brock, "Luminous Eyes" の翻訳も進め、出来れば出版に向け準備する。
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Causes of Carryover |
昨年度、研究に必要な洋図書(かなり高額なもの)を発注したが、まだ物品が届いておらず、物品費の支払いにいたっていない。また昨年、海外の大学、研究機関への調査出張を計画していたが、勤務大学の職務などの関係で実現しなかった。本年度は、夏に持ち越しとなってしまった海外の大学、研究機関への調査出張を実現するとともに、この三年間の研究成果を書籍として公にするための出版費等にあてる予定である。
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