2016 Fiscal Year Research-status Report
日本とアジアの魂魄観についての比較思想史的研究-災気と人神の関係から考える-
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16K02222
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
佐藤 文子 佛教大学, 歴史学部, 非常勤講師 (80411122)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アジア文化 / 日本文化 / 女神 / 憑依 / 巫女 / 聖 / 神仏 / 死生観 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2016年度は、当該科研遂行のための基礎的な調査文献所在調査・収集をすすめるとともに、在外研究者(ベトナム・韓国)を招聘して公開研究集会「アジアの信仰を考える」1・2を開催した。研究集会1では、ベトナム社会科学院宗教アカデミー研究員大西和彦氏「ベトナムにおける神仏習合の諸相」ほかの講演、2では韓国綜合芸術大学講師池美玲氏「アジアにおける死者の供養」ほかの研究発表を行った。 また在外研究者の協力・参加を得て、疫神祭の調査(国内・国外)を実施した。国外調査としては、六月に韓国江陵端午祭については、とくに、山神・城隍神を大関嶺に送り出す送神儀礼を調査するとともに、江陵端午祭保存会の協力を得て、伝統芸能保持者にインタビュー調査を実施した。三月に韓国済州島の漁村で、海女を生業とするひとびとが竜神を祭神としておこなう燃灯祭3件調査した。国内調査としては廃仏毀釈の遺跡である四国金毘羅権現(松尾寺)で神仏分離の当時の言伝えを聞き取り調査ほかを実施した。 研究代表者佐藤文子と研究協力者池美玲は中国寧波で開催された国際シンポジウム「漢字文化と仏教」に登壇し、当該科研の視座から「聖の原義と表象」・「漢字文化圏における信仰と儀礼の一齣―韓国の甘露幀画をめぐって」として研究発表した。 上記のとおり基礎的調査研究の進捗があったが、初年度における公開研究会開催および国際シンポジウム参加において、歴史学・文学・宗教学・仏教学の専門家・学生らが会する場での、情報共有化・適宜連携などが可能となり、研究事業効率化につながっている。これまでの人文学の縦割り的研究状況に対して意味のある活動を起こすことができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者との事前の議論がなされていたことに加え、打ち合わせやデータの共有化をおこない、計画を合理化し的確な成果をあげている。公開研究集会や国際シンポジウムにおいて当該研究のパースペクティブを広く喚起することに比重をおいた。 とくに初年度における公開研究会開催および国際シンポジウム参加において、歴史学・文学・宗教学・仏教学の専門家・学生らが会する場での、情報共有化がなされるとともに、必要応じて調査研究の連携などが可能となり、研究事業全体の効率化につながった。 調査研究の対象にするべきあらたなポイントが顕在化することもあり、臨機応変に研究計画を検討し対応していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究者との議論を経て、初年度の事業はややアウトプットに比重を置くこととしたので、2017年度以降は資史料収集・現地儀礼調査・関係者インタビュー調査などのインプットに比重を置き、記録化をはかることに重点を置き、最終年度の成果公表にむけて取り組んでいきたい。とくにこれまでアジア的視座に立って国外調査を中心に進めてきたので、国内の基本調査に補完の余地がある。これまで得た知見を使いながら、比較思想史的に日本の魂魄観・死者意識について調査をすすめ、再評価をしていく。また国内外研究者の参加協力を得て、研究集会を開催し、来年度の成果の結実に向けて活動を展開していく。
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Causes of Carryover |
初年度は研究集会開催や国際学会登壇などのアウトプット事業と、資史料収集・現地調査などのインプット事業の両面にわたって事業を実施したが、公開性のあるアウトプット事業を複数回にわたって実施したため、ほかの研究班との連絡連携ができた。その結果、研究全体が相乗的に効率的に進捗し、じゅうぶんな成果があったが、次年度使用額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査研究データの共有化と市民一般に向けての研究成果公表のための事業に振り向けていく計画である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 聖の原義と表象2016
Author(s)
佐藤文子
Organizer
国際シンポジウム「漢字文化と仏教」
Place of Presentation
浙江省(中国)
Year and Date
2016-11-26
Int'l Joint Research
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