2020 Fiscal Year Annual Research Report
Method and demonstration of scientiae in early modern from Mersenne to Arnaud
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16K02223
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
武田 裕紀 追手門学院大学, 基盤教育機構, 教授 (50351721)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 想像力 / デカルト / 記号化 / マテーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
デカルトにおいて数学(より広い意味でのマテーシス)の確実性が、認識論の側からどのように、あるいはどの程度確保されているのかといった問題を検討していった。その際に、デカルトにおける想像力の役割に注目することで、これまでの知性重視の研究史に対して、一石を投じることができたと思う。本研究は、2018年から2020年までの比較的長期にわたって取り組んだ主題である。そのため、一連の考察を3つの論文に分けて公表したが、以下では、とくに本年度に進捗した第一論文の後半についての概要を記す。 第一論文では、『規則論』の段階、すなわち1630年以前においてデカルトが抱懐していたマテーシスの領域と、そこへと及ぶ想像力の役割について考察した。そして、想像力における能動と受動という二面性を取り上げ、とりわけこれまで積極的に論じられることのなかった能動的な機能の果たす役割を検討した。そして能動的な想像力の意義を、とりわけ以下の二点において見出した。ひとつは、純粋数学に携わるための概念的ツールであったディメンションとフィグーラを想像力によって駆使していく局面である。もうひとつは、想像力による記号の通覧によって、対象となる幾何学的図形を一気に把握することができることである。記号化は、たんに記号操作による想像力の軽減や、対象を記憶にとどめておき易くするためのメモリーの節約のためだけではなく、想像力による真理の通覧をサポートする役割も担っているのであり、その点では、観念の明晰判明性には尽くせない独自の真理認識の様態といえる。
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Research Products
(7 results)
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[Book] 数学史事典2020
Author(s)
武田裕紀、三浦伸夫、佐藤健一ほか
Total Pages
722頁
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4-621-30522-5