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2017 Fiscal Year Research-status Report

油彩画技法「ミッシュテクニック」の東アジアにおける継承と実践に関する調査研究

Research Project

Project/Area Number 16K02230
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

仏山 輝美  筑波大学, 芸術系, 教授 (70315274)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 北澤 茂夫  横浜美術大学, 美術学部, 教授 (10161473)
加藤 隆之  福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (70572056)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywordsミッシュテクニック / 東アジア
Outline of Annual Research Achievements

■ライプツィヒおよびウィーンにおけるミッシュテクニックの継承と実践に関する現地調査の実施: 1921年刊行『絵画技術体系』のなかでマックス・デルナーが提唱したミッシュテクニック(卵テンペラと油彩の併用技法)が、現代のドイツ語圏においてどのように継承されているのか、その現況を調査した。東アジア圏を対象にミッシュテクニックの継承について調査することに加えて、デルナーがその活動をおこなったドイツ語圏において同技法の継承の実態を把握することもまた急務の課題であると考えた。ベルリン在住の画家姫野慎二氏のご尽力もあり、調査の結果、旧東ドイツの画家ヴェルナー・テュプケが継承し、実践したミッシュテクニックが、ライプツィヒにおいて、彼の教え子たちである3名の画家によって継承され実践されていることを確認することができた。彼らに面談し、それぞれの技法についてインタビューを行った。また、ウィーン幻想派が輩出したウィーン美術アカデミーにおいても断続的にミッシュテクニックが継承されてきたことや、その継承を担った教員の系譜についての証言を同アカデミー教員へのインタビューから得た。総じて、およそ100年前に提案されたミッシュテクニックが、今もなおドイツ語圏において受け継がれている事例を検証することができたと考えている。
■日本の美術系大学におけるミッシュテクニックの実践に関する調査の集計: 研究分担者である加藤隆之は、我が国の多くの美術系大学および教育学部美術科における絵画技法講座の中でミッシュテクニックが実践されているのかどうかについて調査した。集計の結果、回答のあった調査対象校の約60%(調査対象95校のうち62校から回答があり、そのうちの37校)においてミッシュテクニックが実践されていることが明らかになった。我が国においては、同技法が教育機関における絵画教育の教材として広く認知されていることがわかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

■我が国の美術系大学ならびに教育学部美術科において、ミッシュテクニックが紹介されている事例を多数確認できたことは、我が国が東アジアにおける同技法の伝播の起点であることを裏付ける結果である。また、ミッシュテクニックが、西洋絵画を学びそのメカニズムを理解するうえで有用な教材であることがわかる。さらに、我が国における同技法の伝播の源にあるのは佐藤一郎氏であり、氏を通じてデルナーのミッシュテクニックが我が国に定着していったと推察できる結論にいたった。
■デルナーがその活動を行ったドイツ語圏において継承の実態を把握することによって、東アジアにおけるミッシュテクニックの継承は、ローカルな現象ではなく、今もなお東西で継承されている絵画技法であることが明らかになった。
■本研究の成果を発表する中間報告会の実施: 研究代表者(仏山輝美)、研究分担者(加藤隆之、北澤茂夫)、研究協力者(熊谷宗一)が、平成28年度以降に取り組んだそれぞれの研究の成果を公開するシンポジウムを開催するとともに、今後の研究の進め方を検討する意見交換会を実施した(平成29年12月8日、筑波大学芸術系棟B203室)。
■平成30年度の取り組みの一つとしてウィーン幻想派に学んだ画家たちの作品展を企画し、その出品者の選出を終えたことは、ミッシュテクニックが現代の日本においていかに継承され実践されているかを検証する機会であると同時に、本研究の研究体制をさらに充実させる契機になるものと大いに期待できる。

Strategy for Future Research Activity

■東アジアにおけるミッシュテクニックの継承と実践について把握するべく、韓国、中国、ベトナムの美術系大学における絵画技法カリキュラムの実態調査を行う。現地に赴き、関係者にインタビューするとともに、関連資料を収集する。
■「ウィーン幻想派に学んだ画家たちの系譜」展(仮称)を開催し、ウィーン幻想派に師事した日本人画家たちとその作品を紹介するとともに、それぞれの制作技法とミッシュテクニックのかかわりについて検証する。また、同展の関連企画として、出品者による意見交換会を開催し、我が国におけるミッシュテクニックの受容の背景や意義について、その当事者たちの証言をまとめたい。
■日本にミッシュテクニックが定着した要因を明らかにするべく、同技法の講座を開講する絵画スクール「ヴィーナマールシューレ」を都内に開き、多数の後進を育成した同スクールの関係者へのインタビューを遂行したい。
■2年間で収集した関連資料(ドイツ語)の翻訳作業を進める。特に、ライプツィヒの画家3名へのインタビューで得たミッシュテクニックの処方と同技法の意義に関する発言は本研究を推進する上で極めて重要であり、早急にまとめたい。

Causes of Carryover

東アジア圏におけるミッシュテクニックの継承と実践を調査するべく、ベトナム(ホーチミン市美術大学ほか)での現地調査を年度末に予定していたが、先方との連絡調整が難航し、渡航をキャンセルしたため61,922円の未使用額が生じた。
未使用額は、平成30年度11月に予定しているベトナムでの現地調査の旅費に当てる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 作品 「アリスの時」   技法・素材:テンペラによる下層描き+油彩によるグラッシとテンペラによる描画+油彩による上層描き  木枠にカンバス、膠+ムードン+チタニウム白+サンシックンドオイルによる半吸収地   F150号(1818×2273㎜)2017

    • Author(s)
      北澤茂夫
    • Organizer
      第71回二紀展
  • [Presentation] 作品「思考の芽吹きと再生」   技法・素材:混合技法(練り込みテンペラと油彩の併用)、油絵具・テンペラ絵具・綿布・パネル  F130号(1940×1620㎜)2017

    • Author(s)
      加藤隆之
    • Organizer
      第71回二紀展

URL: 

Published: 2018-12-17  

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