2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K02239
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
東 賢司 愛媛大学, 教育学部, 教授 (10264318)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 墓誌 / 水運 / 運河 / 水運 / 南水北調 / 北魏 / 洛陽 / 河北省 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)石刻資料と水運の関係性について…現代人が見ることが出来る文字資料には、石に刻んだ文字、いわゆる石刻資料がある。これらは小さなものでも重量があり、陸路を人力で運ぶことは簡単ではない。また、中国の中古・中世の墓葬地域は、近くに河川が流れていたことが多く、墳墓までの運搬は、陸路よりも水路の利用が可能ではないかという疑いがある。そこで物資の運搬には、船が使用されたのではないかと推定し、水路や河川などの水運と石刻資料の関連性を調査した。 (2)石刻資料の分析について…平成28年度は、石刻資料に関する資料収集と整理を中心に行った。いわゆる「南水北調」の工事の影響で、河南省や河北省では石刻資料の発掘が相次いでいる。一地域の石刻資料が一時的にでも大量に出土することは珍しいことである。これらについても発掘報告書の電子化を行い、石刻資料のデジタル化などを進めた。 (3)現地調査について…中国の河北省を中心とした現地調査を三度行い、新しい資料や遺址の情報を入手することができた。これらの中には運河(水路・河川)添いから出土した資料も含まれ、水運と石刻資料の繋がりを考える上での基準資料とすることができた。 (4)学会での成果報告について…本年は、北魏の墓誌資料としては一地域の出土数が多い洛陽北部出土の資料と、二本の河川の関係、出土地と墓誌銘の書風の関連性について考察を行った。この中で、黄河と洛陽城内を結ぶ陸路沿いに特徴的な書風を持つ資料が複数あることが確認でき、水路から運ばれた墓誌銘があるという結論を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
データベースの出土資料の増加、文字資料の電子化を進め約35,000字の増加を図ることができ来た他、中国国内での調査も順調に進められ、それらの成果も学会で発表出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
中国の調査を山東省や陝西省にも広め、河川・運河等の水運が石刻資料の文字にどのような影響を与えたのかの確認作業を行いたい。また南北朝が中心となっている資料収集を隋代にまで広げ、煬帝が建設したと言われる大運河と石刻資料、また物資や人の運搬の関連性を探りたい。
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Causes of Carryover |
中国国内での資料購入について、資料を厳選し、かつ割引カードなどを利用した。また、中国からの資料運搬を国際郵便に頼らず、自分で運んだため、必要な経費を削減することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の新資料の購入、学会発表の旅費等に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)