2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02251
|
Research Institution | Musashino Academia Musicae |
Principal Investigator |
薦田 治子 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 教授 (00323858)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 平家琵琶 / 日本音楽 / 音楽伝承 / 伝統保存 / 平家 / 平曲 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)教材の作成 現行伝承4曲について、伝承者今井勉の演奏録音に対応するよう、伝承譜〈平家正節〉の改訂した。あわせて伝承者の演奏録音の詳細な五線譜の採譜を2曲行った。伝承譜の記譜法と五線譜を対応させ、教材としての伝承譜と五線譜のあり方を検討した。 (2)作成教材の検証、 年11回、(1)の作成教材を録音、録画資料と併用して、伝承の実践的研究会(学習)を行い、教材の有効性を検証した。 (3)伝承者による伝承成果の検証 学習者の演奏(学習成果)を伝承者に聞いてもらい(年2回)、教習メソッドと教材の有効性を検証することを試みたが、伝承者の都合により実現できなかった。 (4)研究成果の公開と検証 浜松市楽器博物館コンサート(7月浜松)、清栄会主催三味線教室(12月、国立劇場伝統芸能館)、日本三曲協会主催の研修会(1月東京)で、研究成果発表演奏を行い、作成教材を用いた伝承研究の成果の公開と、その成果の有効性についての検証を行った。また、5月には亜太地区仏教音楽国際学術検討会(北京中央音楽院)にて、平家と声明の関係について招待発表し、平家の現状と伝承の取組を紹介した。また10月22日には、ICTM Colloquium: “Plucked Lutes of the Silk Road: The Interaction of Theory and Practice, from Antiquity to Contemporary Performance"にて招待発表し、また同22日には、上海音楽院で第176回音楽学学術講演会で講演「琵琶楽器在東亜諸国的伝播与変遷」を行い、そのなかで、学習者日吉章吾の演奏を紹介し、伝承研究の成果を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要4項目のうち、(1)教材の作成の作業には多少の遅れがある。また(3)伝承者による伝承成果の検証は、伝承者の都合により実現していない。しかし、(2)の伝承作業は計画以上の成果を挙げ、(4)研究成果の公開においては、予定以上の発表の場を得ることができ、その結果、学会、演奏界、一般の愛好家たちの間で、概ね好意的な評価を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2016年4月12日提出の交付申請書の計画に則って研究を進める。即ち、 (1)教材の作成 現在残る伝承曲4曲について、『平家正節』の改訂、五線譜の作成を進める。また琵琶の奏法だけでなく、楽器のメンテナンス、修理、消耗品の入手と交換、調弦などに関する調査と情報収集を行う。 (2)作成教材の検証 引き続き、年10回程度を目標に、(1)の作成教材を録音録画資料と併用して、伝承の実践的研究(学習)を進めながら、教材の有効性を検証する。 (3)伝承者による伝承成果の検証 学習者の演奏(学習成果)を伝承者に聞いてもらい(年2回)、教習メソッドと教材の有効性の検証を重ねる。 (4)研究成果の公開と検証 引き続き、国際シンポジウムや、国内学会などに働きかけ、機会をとらえて、作成教材を用いた伝承研究の成果の公開と、その成果の有効性についての検証を行う。今年度は、ジュネーヴ高等音楽院のFransis Biggi教授の主催するプロジェクト、Oulomenen I: le chant des guerriers において、本研究の成果発表の依頼を受けている。
|
Causes of Carryover |
五線譜の入力作業が行われなかったため。当初、現行曲8曲のうち4曲の五線譜を作成する予定であったが、8曲すべての検証を終えないと、五線譜の入力ができないことが判明したため、入力を行わなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に残りの4曲の検証がすんだ時点で、本年度分とあわせて五線譜の入力を行う計画である。
|
Research Products
(6 results)
-
-
-
[Presentation] 義太夫節と平家2016
Author(s)
薦田治子、菊央雄司、鶴澤藤蔵、竹本津駒太夫
Organizer
初心者のための三味線音楽鑑賞会(清栄会主催)
Place of Presentation
国立劇場伝統芸能館
Year and Date
2016-12-16 – 2016-12-16
Invited
-
-
-