2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02252
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Research Institution | Musashino Art University |
Principal Investigator |
白石 美雪 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (60298023)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本の音楽評論の歴史 / 四竈訥治『音楽雑誌』 |
Outline of Annual Research Achievements |
4年にわたる研究の第4年度として、本年は初年度、第2年度に続いて、研究のとりまとめと図書出版のための原稿執筆に注力した。当該出版にむけては全部の脱稿に至らなかったために、研究機関の延長(2020年度)を申請した。 研究内容としては、当初計画にもとづいて、7名の音楽評論家(福地桜痴、成島柳北、伊澤修二、大田黒元雄、山根銀二、吉田秀和、遠山一行)の業績調査を行い、「職業としての評論家」がどのような理念をもって批評を書いたのか、また、それが時代とともに変化していった様子を調査した。本年度においては、最初の音楽専門雑誌として四竈訥治が刊行した『音楽雑誌』(のちに『おむがく』)について精査をした。同雑誌に見られる歌曲(唱歌)の発表、教育勅語に関する記述については、教育史学会第63回大会コロキウム「教育勅語を伝える」(小野雅章・高橋陽一ほか、2019年9月、静岡大学)の運営チームとして参加して、報告することができた。提供した図表(教育勅語本文の誤植例)は、『造形と教育』第14号(2020年1月)に掲出された。また、音楽学の学会としての創出を調査して、1936(昭和11)年の日本諸学振興委員会におかれた芸術学会の形成過程及び発表内容の分析に着手した。 これらの第4年度の新たな研究成果を含めて、本研究の成果は図書として刊行する予定が確定したことから、2020年度中(本科研の期間延長)に執筆を完了することを予定して、図書原稿の作成を主眼として作業を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第3年度と同じく、7人の代表的な音楽評論家のそれぞれについて、著作や新聞の批評、雑誌記事などの形で残した著作に一通り目を通す作業に時間がかかっているものの、とくに集中的に『音楽』や『日本諸学振興委員会研究報告』などの雑誌類を取り上げて分析を行った。さらに、当初は予定していなかった教育史学会コロキウムでの報告協力などを実施した。評論家研究や雑誌メディア調査を含む本研究の成果については、単行書とする予定で執筆作業を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の期間延長(第5年度)において着実に執筆作業を進めて、研究成果の発表に集中的に取り組む。当該図書においては、本科研に関連して執筆した紀要論文の追加訂正や、2019年度に達成した新たな雑誌メディア研究などの成果を含むものである。 本研究の成果は2021年度までに刊行する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が大学業務で多忙となって研究時間が予定より減り、また、直近過去のジョン・ケージに関する科研(基盤研究(C)24520180)の成果を著作『すべての音に祝福を/ジョン・ケージの50の言葉』(2019年、アルテスパブリッシング)としてまとめる機会を得て執筆が重なったことが、遅延を招いた主な要因である。 本研究の成果も著書にする企画が進行中で、調査と執筆という作業が平行したため、当初計画を変更せざるをえなかった。 次年度使用額の計画については残された調査課題(近現代の音楽評論家についての調査分析)のための膨大な書籍購入と、当該研究期間内に不具合が生じたPCの購入に使う予定である。
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Research Products
(1 results)