2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02255
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
平山 敬二 東京工芸大学, 芸術学部, 教授 (50189867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 麻子 立命館大学, 文学部, 准教授 (30611628)
加藤 泰史 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (90183780)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エコロジー美学 / ゲルノート・ベーメ / 自然美学 / 環境美学 / 和辻哲郎 / 風土論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題遂行における第二年度目に当たる本年度の研究計画は、第一年度において遂行された現代ドイツ哲学における自然美論の基礎的研究に基づいて、さらに哲学的自然美論に関する応用的研究を展開することであったが、ほぼ当初の研究計画に基づいて研究を実施し、その研究目的を果たすことができた。具体的には、昨年度における実施計画に基づき、現代ドイツにおけるエコロジー的自然美学研究で著名なゲルノート・ベーメ教授(ダルムシュタット工科大学)を2017年11月に日本へ招聘し、本研究の研究代表者である平山の所属する東京工芸大学ならびに本研究の研究分担者である長澤麻子氏の所属する立命館大学において、計3日間わたる「エコロジー美学をめぐる国際ワークショップ」を開催した。このワークショップは公開形式で行われ、本課題研究に関わる研究分担者・連携研究者・研究協力者の参加はもとより、われわれの課題研究に関心を有する多くの他の研究者の参加を得ることができた。特に京都の立命館大学におけるワークショップでは、連携研究者である阿部美由起氏が、日本文化における「間」の概念についてドイツ語での発表を行い、ベーメ氏の「Aufenthalt(滞在)」概念についての発表との連関で、有意義な議論が展開された。今年度からは、哲学的自然美学研究の現代における発展的基礎付けを目指すわれわれの課題研究に資するために、東日本大震災における福島原発と芸術との関係に関心を寄せる鈴木賢子氏ならびに日常生活における自然感覚と写真表現との関係に関心を寄せる圓井義典氏の両名に本課題研究の新たな研究協力者として加わってもらうこととなった。また日本的自然観の特質についての研究としては、上記の京都でのワークショップにおける阿部氏の発表に加え、研究代表者である平山が和辻哲郎の「風土論」についての研究発表を2017年10月に国際伝統藝術研究会において行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題研究の研究目的は、現代ドイツにおける自然美学研究を基に、ドイツ人研究者と日本人研究者との共同研究により、従来の日本における環境美学研究の枠組みを超える新たな環境美学研究の可能性を探究することとされているが、本課題研究の第二年度目に当たる本年度においては、ほぼこの当初の研究目的ならびに研究計画に沿った形での研究が実施され、相当する成果を上げていると言える。特に昨年度におけるヴォルフハルト・ヘンクマン教授(ミュンヘン大学)との共同研究に引き続き、今年度は、当初の研究計画に従って、エコロジー的自然美学研究を代表するゲルノート・ベーメ教授(ダルムシュタット工科大学)を日本に招聘することに成功し、貴重な研究協力ならびに意見交換を実施することができた。このことは、今後の本研究課題の遂行にとっても、きわめて大きな意義を有することになるであろうと思われる。また第二年度目の研究計画に掲げられていた現代ドイツにおける自然再生プロジェクトの具体例についての研究は、今年度は見送られざるを得なかったが、その一部は、研究代表者の平山によってすでに昨年度末において実施されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題研究の最終年度に当たる第三年度においては、是非早めにマルティン・ゼール教授(フランクフルト大学)とコンタクトを取るようにしたい。『自然美学』の著者でもある同教授との意見交換は、本研究課題の最終年度としての総合的研究のために大いに資するものとなるであろう。併せてヘンクマン教授(ミュンヘン大学)、ベーメ教授(ダルムシュタット工科大学)、シュアマン教授(マグデブルク大学)等とも連絡を取り、できれば日本あるいはドイツにおいて何らかの形で自然美学に関わるコロキウムの機会を持ちたい。日本においては、まず本年8月に本課題研究に関わる合同研究会を開催し、研究協力者も含めた各研究者の研究発表と同時に最終年度としての今後の研究計画遂行についての意見交換の機会を持ちたい。
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Causes of Carryover |
今年度日本で開催した国際ワークショップにおいて招聘を計画した海外共同研究者二名のうち、一名の研究者の招聘のみが実現され、他の一人については実現することができなかった。次年度においては、再度国際ワークショップの計画を練り直し、日本あるいはドイツにおいて当初の目的に沿った国際ワークショップの成果を実現すべく計画を立てる予定である。
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Research Products
(23 results)