2018 Fiscal Year Annual Research Report
The "milieu" of female artists in France between the two wars
Project/Area Number |
16K02263
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
天野 知香 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (20282890)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 女性芸術家 / 両大戦間 / フランス / ジェンダー / 女性コレクター / アイリーン・グレイ / ロメーヌ・ブルックス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は7月27日から8月15日にかけてパリ、ニース、ポルトガルにおいて、ポンピドー・センター、国立美術史研究所、グルベンキアン美術館他において女性芸術家の作品調査と資料収集を行った。ニースでは両大戦間に芸術家の下絵をもとにタピスリーを制作・販売しかつコレクターとしても重要な役割を果たした女性マリー・クトーリと関わる二人の重要な芸術家ピカソとマティスの相互関係をテーマにした展覧会を調査した。グルベンキアン美術館ではソニア・ドローネの作品調査を試み、パウラ・レゴをはじめポルトガルの女性芸術家についても合わせてその作品にふれる機会を得た。 さらに12月22日から1月5日にかけてパリの国立美術史研究所、フランス国立図書館での文献調査に加え、ロンドンではModern couples 展において両大戦間における同性愛を含む芸術家カップルの作品と資料の展示に触れ、特にパリに住んでいたアメリカ人文学者ナタリー・バーニーを中心としたロメーヌ・ブルックス等女性芸術家たちのネットワークに関する貴重な資料に触れることができた。加えて単に男女の関係にとどまらない多様な形での「カップル」とみなしうる親密な人間関係が絡み合いながら芸術活動を展開する際のエンパワーメントにつながる事例に予想以上に多く触れることができたことで、本研究の理論構築にも資する成果が得られた。さらに年度末には両大戦間フランスにおいても女性コレクター、メセナとして重要な役割を果たしたヘレナ・ルビンシュタインに関する資料を入手することができ、両大戦間における女性芸術家の活動環境をめぐる多様な事例に関して、作品および資料収集を順調に展開した。 また11月には著書『芸術と「他者」』(ブリュッケ)を上梓し、本研究で得られたアイリーン・グレイの作品研究を盛り込むと同時に、女性と装飾に関する具体的事例に基づく考察を展開した。
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Research Products
(1 results)