2018 Fiscal Year Annual Research Report
Reconsideration of Gutai Art Association from Plural Viewpoints
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16K02266
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 瑞穂 大阪大学, 総合学術博物館, 招へい准教授 (70613892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 節也 大阪大学, 総合学術博物館, 教授 (70180817)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 具体美術協会 / 前衛美術 / 戦後日本 / 吉原治良 / 田中敦子 / 金山明 / 近代大阪 |
Outline of Annual Research Achievements |
関西に生まれた戦後日本を代表する前衛美術グループ「具体美術協会」(略称:具体、1954-1972年)について、従来の「具体」解釈およびその歴史的評価を再考するために、いまだ掘り下げられていない次の視点、すなわちメンバーの固有性を明らかにする[視点1]、関西の戦前からの流れの中で見直す[視点2]、同時代の他の前衛美術や他の芸術分野とのつながり、ひいては当時の関西の社会といった、より広い文脈の中で再検討する[視点3]、以上3点に着目した。 平成30年度は、視点1に基づき前年度から引き続き、大阪大学総合学術博物館寄託の「具体」に関する未整理資料のうち、主流のスタイルを取らなかった田中敦子と金山明に関するものを精査し、資料約250件のデータベース化を完了した。特に経年劣化が懸念された写真については、残るポジ528点をデータ化し、これらの調査研究を踏まえた論文発表の準備を進めている。また同館寄託の「具体」関連資料のうち、田中・金山と同様、主流のスタイルとは言えないが、創立会員の一人で解散まで在籍した上前智祐の資料、特に日記226点の精査に取組み、その成果は本年中に刊行予定の『上前智祐日記 1947-2010』に生かされることになる。これらを補完する意味で、元「具体」メンバーの向井修二氏、「具体」と同時代の前衛美術グループ「極」の片山昭弘夫人・雅子氏に聞き取り調査を行い、活字になっていない事実を多数確認でき、記録を残すことができた。 そして視点2と3に基づいてシンポジウム「〈具体〉再考 第3回 大阪と前衛美術」(大阪大学中之島センター、平成31年1月6日)を開催した。広告デザインの研究者である竹内幸絵氏と、元具体美術協会会員でパブリック・アートを多数手がけている今井祝雄氏を招き、近代大阪の都市文化を研究してきた分担研究者の橋爪節也と共に、大阪における前衛的な美術の特徴について討議した。
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