2016 Fiscal Year Research-status Report
イギリスのカラーフィールド絵画の文化的背景に関する研究
Project/Area Number |
16K02273
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加治屋 健司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70453214)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イギリス美術 / 抽象絵画 / セント・アイヴズ派 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、イギリスのカラーフィールド画家、ロビン・デニー、リチャード・スミス、ジョン・ホイランドの先行世代であるセント・アイヴズ派の抽象絵画について調査を行った。平成28年9月に、ヴィクトリア&アルバート美術館内の国立美術図書館、大英図書館、テート図書館で資料調査を行い、テート・モダンとテート・リヴァプールで作品調査を行った。当初は、イギリスのテート図書館とヘイワード・ギャラリー図書館で調査する予定だったが、国立美術図書館のほうが利用しやすいことが分かり、そちらを主に利用することにした。 パトリック・ヘロン、ウィリアム・スコット、テリー・フロスト、ピーター・ランヨンの4名に焦点を当てて、主要な展覧会カタログ、雑誌記事、新聞記事等を調査した。セント・アイヴズ派の抽象絵画に対するアメリカ絵画の影響についてはより慎重な分析が必要であると考え、ロジャー・ヒルトンとヴィクター・パスモアについても調べた。これまで、1956年にテートギャラリーで開催された「合衆国の近代美術」展がイギリス人画家に大きな影響を与えたと言われてきたが、ヘロンはその前からアメリカ人批評家との交流を通して学んでおり、スコットは1953年にアメリカを訪問していたことが分かった。フロストもその前から間接的に知っていた形跡があり、ランヨンは1957年にアメリカを訪問して交流を深めていたことが分かった。アメリカ絵画との関係は多様であり、セント・アイヴズ派の抽象画家の個別の経歴を調査して論じる必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、セント・アイヴズ派の抽象絵画について、パトリック・ヘロン、ウィリアム・スコット、テリー・フロスト、ピーター・ランヨンの4名に焦点を当てて、主要な展覧会カタログ、雑誌記事、新聞記事等を調査するものであったが、平成28年9月の調査でほぼ当初の計画通りの調査を終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、カラーフィールド画家の活動及びアメリカ現代絵画との関係を調べるために、ジョン・ホイランド、ロビン・デニー、リチャード・スミスの展覧会カタログについて調査する。平成30年度は、ロンドンの都市文化との関係を調べるために、ホイランド、デニー、スミスの大衆文化への関心や戦後イギリスの美術制度について調査する予定である。
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Causes of Carryover |
物品費は書籍の購入が中心であるが、残金が少額であったため、次年度分と合わせて書籍の購入に使用したほうが有効であると考えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分と合わせて、イギリス美術に関する書籍の購入に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)