2017 Fiscal Year Research-status Report
イギリスのカラーフィールド絵画の文化的背景に関する研究
Project/Area Number |
16K02273
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加治屋 健司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70453214)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | イギリス美術 / アメリカ美術 / 抽象絵画 / カラーフィールド絵画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、イギリスの3名のカラーフィールド画家の活動及びアメリカ現代絵画との関係を調査した。日本の美術館図書室で調査を行い、平成30年2月にロサンゼルスのゲッティ研究図書館でも調査を行った。ジョン・ホイランド、ロビン・デニー、リチャード・スミスの展覧会カタログを調査した。 ホイランドは、数多くのアメリカ人美術家に会っていることが分かった。抽象表現主義画家だけでなく、カラーフィールド画家、クレメント・グリーンバーグに会い、とりわけハンス・ホフマンの影響を受けていることが分かった。ホフマンは、1956年と59年にロンドンで開かれたアメリカ美術展に出品されていなかったので、ホイランドにとってアメリカ経験が大きかったことが分かる。 デニーは、80年代にロサンゼルスに滞在するものの、アメリカ美術の影響は主として、1956年と59年にロンドンで開かれたアメリカ美術展によるところが大きく、とりわけロスコとニューマンから影響を受けたことが分かった。ホイランドと対照的に、イギリス国内での経験が重要であった。 スミスは、1959年から数年間アメリカに住み、抽象表現主義画家、カラーフィールド画家に会い、とりわけケネス・ノーランドの作品を好んでいたことが分かった。さらには、ポップ・アートにも関心をもち、1961年にはグリーン画廊で個展を開いていることも分かった。これは、スミスが、後年峻別されるようになってしまった抽象絵画とポップ・アートの双方に関心を持っていたことを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、本年度は、ロンドンとニューヨークの美術館図書室で調査する予定だったが、大学業務の予期せぬ増加のため、今年度の海外出張は、ロサンゼルスのゲッティ研究図書館への出張1回とし、代わりに、日本の美術館図書室での調査を増やすことで対応した。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である今年度は、イギリスのカラーフィールド絵画とロンドンの都市文化との関係を調査する予定であるが、ホイランド、デニー、スミスに関する新聞・雑誌記事も合わせて調査する定である。
|
Causes of Carryover |
海外出張を2回する予定だったが、大学の業務の予期せぬ増加で1回しかできなかったため、調査の一部を平成30年度に行うことにした。
|
Research Products
(2 results)