2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Art Crafts of Meiji Kyoto and Their Reception in Britain, and Mutual Influence
Project/Area Number |
16K02274
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
野口 祐子 京都府立大学, 文学部, 教授 (80128769)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 輸出工芸 / 国際京都学 / 明治時代 / イギリス / ヴィクトリア&アルバート博物館 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は1910年開催の日英博覧会に焦点を絞り、文献調査とロンドンでの調査を実施し、『京都府立大学学術報告 人文』70号にまとめた。また国際京都学セミナーを開催し、セミナー報告書と科研成果報告書を作成し、公共図書館・京都学関連の大学・研究所等に送付した。 今日、明治工芸の再評価が進み、展覧会で扱われる機会も増えているが、そのような場で私たちが目にするのは、芸術性の高い一級品である。しかし明治時代に海外に渡ったのは、そのような作品ばかりではない。安い労働力に頼って大量に生産され輸出された工芸品の中には、粗悪な芸術性の低いものもかなり含まれていたということが、欧米人の日本旅行記や美術評論家の著作などからうかがえる。 明治時代の初め、イギリスからは最多のお雇い外国人や旅行者が来日し、イギリスは工芸品の重要な輸出先でもあった。本研究では、そのイギリスにおける明治工芸の受容とその変遷、そしてイギリスと日本の相互影響という観点から研究を実施した。江戸時代までの優れた技術の蓄積があった京都の工芸界は、東京遷都による大打撃からの起死回生策として輸出に力を入れた。そこで本研究では、特に京都における輸出向け工芸品生産の特色に着目した。 明治時代京都の工芸は、従来、京都の近代史の一環として論じられることが多かったが、本研究ではグローバルな社会の変化の中に位置づけることを試みた。本研究を「国際京都学」と称する所以である。明治時代の京都で実際に作られていた工芸品について調査するには、日本に現存する数少ない例だけでなく、海外に渡ったものも調査する必要がある。そこで、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(以後V&Aと表記)の協力を得て、毎年実見調査を実施し、それらがV&Aに収蔵されるに至った経緯について、所蔵文献を閲覧した。これらの成果は毎年度『京都府立大学学術報告 人文』において公表した。
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Research Products
(1 results)