2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K02292
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
小野 真由美 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 主任研究員 (90356270)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 狩野派 / 土佐派 / 柳営御物 / 画法書 / 狩野探幽 / 狩野常信 / 土佐光起 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度の調査データをふまえ、貴重資料の翻刻などを行った。翻刻にともない、当該資料と現存作例との関連を調査するなど、資料の文化史的意義を考察した。代表的成果はつぎのとおりである。
1.「柳営御物集」諸本のなかでも『銅御蔵御掛物御歌書極代付之帳』(東京文化財研究所所蔵)は、成立背景が明らかで御物の金銭評価なども記されている重要な資料のひとつである。本年度は、その翻刻を行い、解題を付して『美術研究』に研究資料として発表した。 2.土佐光起が土佐家の画法の秘伝を記した『本朝画法大伝』(東京藝術大学所蔵)について、同時代の狩野家の画法書との比較を行い、成立当時の画壇の状況についての研究発表を行った。また、同著をひろく一般に紹介するための基礎研究をすすめた。 3.狩野探幽・常信による美術品の鑑定の実態を明らかにするべく、さまざまな事例について調査した。とくに米国・ホノルル美術館において、かつて探幽の極書が記されていた伝土佐光信筆「鳥獣人物戯画模本」や、常信の極札が附属している「融通念仏縁起絵巻」などを実見し、御用絵師による鑑定の実例についての知見を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に翻刻・公開する予定であった「探幽縮図(梅竹菓子図)」の刊行が間に合わなかった。また旧大名家所蔵の狩野探幽および常信の作例についての調査や、在外作例の調査が来年度へと繰越となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度となる今年度は、「探幽縮図」および「常信縮図」諸本のテキストデータ化を可能なかぎり公開できる形式にととのえる作業をすすめる。また在外作例の調査による知見を、研究発表や論文によって広く一般に公開することをめざす。
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Causes of Carryover |
予定していた海外調査が年度内に行えなかったため、旅費に次年度使用額が生じた。また調査で得たデータをテキストデータ化するためのアルバイト人員を確保できなかったため、人件費にも次年度使用額が生じてしまった。
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