2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02297
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
鴨川 太郎 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40535473)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レスピーギ歌曲 / 世紀末芸術 / イタリア近代歌曲 / イタリア近代音楽 / イタリア近代詩 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年9月に、レスピーギ歌曲の詩人としても大変重要なG.ダンヌンツィオの終の棲家「ヴィットリアーレ・デッリ・イタリアーニ」を訪問視察し、家屋内に所狭しと並べられた調度品の数々を目の当たりにすることで、ダンヌンツィオの描く詩世界の具体的なイメージが明確になった。 音楽之友社の「全集」をうたった『レスピーギ歌曲全集 上・下』(すでに絶版)にも収録されていなかった歌曲集《森の神々》について、その歌詞の出典を突き止め、イタリア人研究者との討議を経て、難解な詩の分析を終えることができた。《森の神々》の音楽構造の分析も加味した研究として、その一部を二期会イタリア歌曲研究会2016年12月例会で発表することができた。 レスピーギが生まれ、地元(ボローニャ)の音楽院を修了する頃まで住んでいた家とその周辺を実際に歩き、街の雰囲気や建物のたたずまい等を視察することで、レスピーギの感性を形作った要素の一端を感得した。ボローニャの国際音楽博物館においては、レスピーギの手稿譜を数多く閲覧し、そのいくつかは写真に保存することが許され、レスピーギのオペラの処女作《エンツォ王》全曲の総譜とピアノ・ヴォーカル版を、また、レスピーギのボローニャ音楽院時代の作曲課題(保存されているものすべて)を写真に収め持ち帰ることができた。 ヴェネツィアのG.チーニ財団の図書館内に委託されている「レスピーギ寄贈文庫」の監督官F.ロッカ氏の知遇を得て、所蔵されている貴重な資料を数多く閲覧することができた。 ローマの視察では、レスピーギがサンタ・チェチーリア音楽院に赴任した当初の住居や、その後移転したモンテマーリオ地区の住居跡などとともに、交響詩のローマ3部作で言及されている地区や遺跡群をすべて巡検した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究機関(大学)内での教育やさまざまな運営業務が思いのほか多くなったため、計画以上に研究が進展することはなかったが、ほぼ当初の計画通りに研究は進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画通り研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
今年度の研究内容が、結果として、外国人研究者との討議をあまり必要としなかったため、「人件費・謝金」が予定額を下回ったことが主な原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究内容に鑑みて、外国人研究者との討議時間が増えるのは必至であり、今年度の当該助成金(残額)は次年度の「人件費・謝金」として使用する。
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Research Products
(1 results)