2017 Fiscal Year Research-status Report
Conservation of time-based media art; Graduation works of Tokyo University of the Arts
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16K02304
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
平 諭一郎 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10582819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薩摩 雅登 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80272657)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 保存 / 修復 / タイム・ベースド・メディア / メディア・アート |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、平成29年度も卒業制作品約1万点の中から自画像と優秀卒業制作品のうち、時間を計測基準にした新たな芸術作品(タイム・ベースド・メディア、メディア・アート、インスタレーション等)に該当する作品の選別と悉皆調査をおこない、比較的新しいメディアから優先的に素材や構成、保存状態の確認ならびにトリアージ(修復優先度選別)を実施した。卒業制作品のうち、自画像を除く優秀卒業制作品65点それぞれの素材や構成、保存状態を詳細に記録するとともに、再生(表示)および展示可否など詳細な調査をおこない、キャリアやメディア、データの保存形式を勘案しながら媒体移行の検討を進めた。 さらに、平成30年度に予定している展覧会形式での成果発表に向けて、展覧会概要および展示作品の検討、作品の新規制作と長期保存と修復理念の構築を進めた。主にブラウン管テレビモニター(CRT, Cathode Ray Tube)を用いた作品の修復について、視覚的同一性を保持しながら長期保存と運用が可能な新たなモデルの開発を進め、展覧会での研究成果公開を目指している。 また、文化財ならびに芸術作品の複製や復元、再現に関する論文執筆および学会発表をおこない、三次元計測、2D、3Dの印刷技術、タブレットやスマートフォンに代表されるデジタル端末が用いられた作品ならびにマルチプルな作品についても言及し、より広範な保存修復へと研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)作品調査…東京藝術大学大学美術館が収蔵する卒業制作品のうち、時間を計測基準にした新たな芸術作品(タイム・ベースド・メディア、メディア・アート、インスタレーション等)に該当するなかで、平成29年度は、優秀卒業制作品65点の素材や構成、保存状態の確認、再生および展示可否など詳細な調査が完了した。(2)作品の修復モデル…特定のタイム・ベースド・メディア作品を対象に部分的に少しずつ介入(修復)していく実験(作品制作)を進めた。(3)成果発表…主にブラウン管テレビモニター(CRT. Cathode Ray Tube)を用いた作品の修復について、視覚的同一性を保持しながら長期保存と運用が可能な新たなモデルの開発を進め、平成30年度に予定している展覧会形式での成果発表に向けて、展覧会概要および展示作品の検討を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)作品調査…東京藝術大学大学美術館が収蔵する卒業制作品のうち、優秀卒業制作品の素材や構成、保存状態の確認、再生および展示可否など詳細な調査を実施する。(2)展覧会での成果発表を通じた修復の検証…平成30年秋に研究成果の発表と検証を兼ねた展覧会形式での発表を東京藝術大学大学美術館で開催する。展覧会形式での成果発表では、タイム・ベースド・メディアをはじめとするエフェメラルな作品群の保存や修復に関わる現状と問題点を示すとともに、解決策や展望を作品(展覧会)として提示し、東京藝術大学卒業制作品の代替メディアへの移行を含めた体系的な保存・修復理念の確立を目指していく。
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Causes of Carryover |
理由:研究遂行に関わる経費の無駄を省くとともに、平成30年度に研究成果の発表と検証を兼ねた展覧会形式での発表を東京藝術大学大学美術館で開催するための研究費を確保したため。 使用計画:展覧会形式での研究成果発表に関わる制作費、展示費、報告書(図書)発行費に使用する。
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