2018 Fiscal Year Annual Research Report
role of painting in local culture -the painter kinzo and shibai-e screens in tosa
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16K02313
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松島 朝秀 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (60533594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野角 孝一 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (50611084)
荒井 経 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (60361739)
高林 弘実 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 准教授 (70443900)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 絵金 / 芝居絵屏風 / 神社祭礼 / 雨乞い / 自然災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、芝居絵屏風の祭礼における役割を、過去の災害や社会情勢との関係を確認する事によって、発祥の要因を考察することを目的とした。 はじめ、夏期の神社祭礼に芝居絵屏風が奉納される理由の検証を行なった。 ①高知県内の祭礼の調査・・・主な民俗芸能奉納時期・地域と、現在の芝居絵屏風を奉納する祭礼行事を比較すると、地域が明確に分かれていることが分かった。民俗芸能調査を進めその輪郭が見えてくると、高知県に接する徳島県、愛媛県、香川県の比較が次の課題になってきた。他県では、花取り踊りやこおどりは神祭で踊るよりも盆や雨乞いに踊ることが多い。これらを殊に雨乞い踊りと呼称している地域も少ないほどである。現在、愛媛県、徳島県、香川県の3県は、高知県の土佐郡土佐町早明浦ダムの貯水に水資源を完全に頼っている。この3県はその自然環境によって歴史的に水不足に悩まされてきた。よって、夏も冬も枯れた水資源に悲嘆し神仏に頼んで降雨を願う、すなわち盆に踊られる念仏踊りは盆時期には必ず、また合わせて雨乞いのために踊る機会も多い。一方、土佐側は太平洋の海風をうけて多雨地帯であるため、盆時期に雨乞いのため踊るという芸能は育たなかった。雨乞い踊りの記録が少ないことが裏付けになる。この実態は、土佐において盆の芸能が盛んでないことを示す一因だと考える。また、土佐の近代史にみると、江戸時代初期には土佐藩家老の野中兼山によって庶民の一揆を恐れ踊り制禁が布かれた史実があり、上記した理由に合わせればより背景が明確になると考える。 ②四国の主な自然災害・・・芝居絵屏風の奉納がはじまったとされる時期以前の災害について調査した。災害は祭礼行事に密接に関係することが理由である。 調査の結果、高知県における渇水災害件数が他県と比較して顕著に低いことが分かった。この結果は、上記の盆に関わる芸能奉納が高知県では盛んではない理由に関係すると考える。
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[Book] 地域の絆―芝居絵屏風―2018
Author(s)
野角孝一,吉岡一洋,松島朝秀,中村るい,中谷有里,他
Total Pages
19
Publisher
リーブル出版
ISBN
978-4-86338-212-1